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VESA,「USB Type-C」でDisplayPortの映像・音声を伝送可能にする「DisplayPort Alternate Mode」
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DisplayPortでは,信号の伝送に4本のレーンを使用している。現行のDisplayPort 1.2aでは1レーンあたり5.4Gbpsの帯域幅を持っているので,これを4レーン束ねると全体の帯域幅は21.6Gbps。これが,北米時間9月15日にリリースされた「DisplayPort 1.3」になると,1レーンあたり8.1Gbps,4レーン合計では32.4Gbpsまで帯域幅が広がる(関連記事2)。
そういったレーン構造の一部をUSB 3.1の伝送に利用するというのが,DisplayPort Alternate Mode(以下,Alternate Mode)の仕組みである。
現行のUSB 3.0は転送速度が最大5Gbps,2014年8月に規格化された「USB 3.1」では10Gbpsなので,DisplayPort側にUSBのデータ信号を送る余裕はある。ならば,実際に映像とデータをUSB Type-Cに対応したケーブル1本で伝送してしまおうというのが,Alternate Modeの考え方だ。
イメージとしては,IntelとAppleが共同開発したデータ転送技術「Thunderbolt」のデータ信号部分(※PCI Expressベース)をUSB 3.1に置き換えたもの,といったところだろうか。
ちなみに,Alternate Modeに対応したUSB Type-Cデバイスやケーブルは,事実上の「接続端子がUSB Type-C仕様になったDisplayPortケーブル」になる。そのため,PCからのDisplayPort出力を,変換アダプターによってUSB Type-Cへ変換して,それをディスプレイデバイスと接続するといったことも可能だという。
VESAでは,「Alternate Modeに対応したUSB Type-C端子」搭載のPCやタブレット,スマートフォンやディスプレイ,ドッキングステーションの登場を想定しているが,とくに恩恵がありそうなのは,タブレットやスマートフォンをテレビやディスプレイに接続する場合だろう。現在そうした用途にはHDMI Micro Type-Dを使うか,USBとHDMIを共用できる「MHL」(Mobile High-definition Link)を使うのが一般的だが,後者のMHLはまだ普及が始まって2年ほどしか経っていないこともあり,広く一般に使われるには至っていない。
高速データや映像伝送,充電までを1本のケーブルでまかなえるAlternate Mode対応のUSB Type-Cが普及してくれれば,モバイルデバイスをさまざまな機器と接続して利用するのがより手軽で便利になりそうだ。
VESAによる当該プレスリリース(英語)
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