『マインクラフト』で『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のハイラル全土を再現するプロジェクト、約3年でついに完結。大学やめてまで取り組んだマップ、無料配布も

『マインクラフト』にて、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のハイラルの地を約3年かけて再現したプレイヤーが登場した。プロジェクトを実行したプレイヤーは、大学を辞めてまで取り組んだとのこと。完成したワールドは公式サイトにて配布されている。

マインクラフト』にて、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のハイラルの地を約3年かけて再現したプレイヤーが登場した。再現されたワールドは制作者の個人サイトにて頒布されている。

『マインクラフト』は、Mojang Studiosが手がけるサンドボックスゲームだ。本作の世界はさまざまな種類の3Dブロックで構築されており、破壊と創造を繰り返してプレイヤーが思い通りに冒険や建築を繰り広げていく。クリエイティブモードによって、敵などを気にせずに自由なワールド作りができる点も特徴のひとつだ。

そんな本作にて、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下、ブレワイ)を再現しようとしたユーザーが現れた。同作は2017年にWii U/Nintendo Switch向けにリリースされたアクションゲームであり、「オープンエア」とのコンセプトで手がけられた広大なハイラルの地では、自由な探索や冒険をおこなうことができる。

今回そんなハイラルの地を再現したのはGrazzy氏。Grazzy氏は2020年より、『マインクラフト』のプレイ動画をYouTubeにたびたび投稿しているプレイヤーであり、完成にともなってこれまでの経緯を振り返る動画を投稿している。動画では、同氏は2019年末頃より流行し始めた新型コロナウイルスによるロックダウン中、何もすることがなく退屈になってしまったことをきっかけとして、YouTubeへの動画投稿を始めたと述べている。そのうちメインで投稿していた、ハードコアモードでのプレイ動画も飽きてしまい、以前より考えていた「『マインクラフト』内で『ブレワイ』の世界を再現するのはどうだろうか」というアイデアを、実行に移すことになったそうだ。

Image Credit: Grazzy on YouTube

広大なハイラルの土地を再現するにあたっては、「WorldPainter」というマップ生成ツールを導入したという。同ツールはペイントする要領で『マインクラフト』世界の地形を描くことができる。今回の制作にあたってGrazzy氏は、『ブレワイ』の地形データをオンラインからインポートし、“現地調査”を経て地形のいくつかを修正している。

しかし再現は地形だけでは終わらない。『ブレワイ』では、細部こそ差異があるものの、シーカータワーや祠といった、複数の同じオブジェクトが登場する。そのためGrazzy氏は「テンプレート」として使いまわせるように、いくつかのオブジェクトをあらかじめ作っておいたという。そうして「始まりの台地」は1か月半ほどで完成。当初の目標は、2022年末までに完成させることであったとのこと。

Grazzy氏がYouTube上に初めて投稿した『ブレワイ』再現プロジェクトの動画

ところが2022年秋より大学が始まり、学業と仕事、YouTubeのかけもちがきつくなったとのことで、Grazzy氏はYouTuberとして動画投稿を仕事にする道を選択し『ブレワイ』再現プロジェクトに取り組んでいた。そこへ同氏に向かい風となる出来事が相次ぐ。投稿した動画は当初注目されたものの、2週間後にはほとんど再生されない状態に。さらにカカリコ村の制作に取りかかろうとした際に、村を収容できるスペースが足りないことに気づいたそうだ。そしてよく確認してみると、マップ全体が小さく縮小された状態であったことに気づき、一からのやり直しを迫られたとのこと。

その後再始動となった『ブレワイ』再現プロジェクト。Grazzy氏は協力者たちの援助や建築の手伝いを受けつつプロジェクトを続行。ゾーラの里とゲルドの街を作成し終え、動画をあげた時には2023年7月下旬までになっていたそうだ。なかなかあがらない進捗や、作業の繰り返しを経る中で、Grazzy氏は燃え尽き症候群になってしまったという。『ゼルダの伝説 スカイウォードソード』のスカイロフトを再現することで気晴らしを図ろうとしたものの、それもうまくいかなかったと振り返っている。

Image Credit: Grazzy on YouTube

ひと月ほどの休養を経て、Grazzy氏は建築の様子をストリーミングすることである程度のモチベーションを改善できたと語っている。さらに2023年9月に正式リリースされた「Axiom」という『マインクラフト』用建築Modが登場したことも、大きなモチベーション上昇の要因になったそうだ。

「Axiom」ではマウスを用いてペイントツールのようにリアルタイムで地形を作り上げられる。さらに各種選択ツールなどでコピーペーストや素材の敷き詰めが可能だ。「Axiom」の存在はこれまで手作業でおこなうことも多かったGrazzy氏のプロジェクトを飛躍的に効率化させたとしている。

Image Credit: Grazzy on YouTube

Grazzy氏は「進撃の巨人」や『マリオカート』などの『マインクラフト』内再現プロジェクトを並行しつつも、『ブレワイ』再現を進行。2024年10月には中央ハイラルを残すのみとなった。プロジェクトの開始から2年10か月を経てハイラル城の再現へとたどり着き、2024年10月31日にすべての工程が完了。紆余曲折ありつつも約3年かけた『ブレワイ』再現プロジェクトは終わりを迎えた。

プロジェクトを振り返った動画の最後では、Grazzy氏がこのプロジェクトのために大学を辞めてまで取り組んだことが明かされている。同氏はここまでして続けられた理由は、同プロジェクトが単に承認を得るためや自分自身が満足するためだけでなく、プロジェクトを通じて良き友人と出会え、何千人との人々とも話し合う機会を得られたからだと述懐。Grazzy氏は単に「ゲームのマップを再現する」だけに留まらないプロジェクトに成長したことを喜び、同プロジェクトに関わった人たちや、視聴者に対し感謝の気持ちを述べて締めくくった。

Grazzy氏の制作したワールドは同氏の個人サイトにてダウンロード可能。3年近くにわたるGrazzy氏の執念の作りこみを目の当たりにしたい人は、実際にマップをダウンロードして再現度を確認してみてもいいだろう。なおダウンロードにあたってはJava版のバージョン違いに留意されたい。

Kosuke Takenaka
Kosuke Takenaka

ジャンルを問わず遊びますが、ホラーは苦手で、毎度飛び上がっています。プレイだけでなく観戦も大好きで、モニターにかじりつく日々です。

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