経済で強気の見通しが示せなくなるなか、中国の習近平(シーチンピン)指導部が腐心したのは、いかに国民の支持をつなぎとめるかだった。5日開幕した全国人民代表大会(全人代、国会に相当)。秋に共産党の最高指導部が入れ替わる党大会を控え、政府も「党の核心」となった習氏への結束を訴えた。 約1時間40分にわたった李克強(リーコーチアン)首相の政府活動報告で、会場が最も盛り上がったのは政治・経済運営の大方針ではなかった。「携帯電話料金とデータ通信料のうち、省などをまたぐ長距離の上乗せ料金を年内に廃止する」と宣言すると、人民大会堂は約10秒にわたって大きな拍手が起きた。 国有企業の通信業界に政府が指示できる構図があるとはいえ、政府活動報告で電話料金の値下げにまで言及するのは異例。中国メディアも一斉に速報した。舞台裏では、各社の収入や利益を聞き取るなど周到な準備があった。 「国民生活が政治の要。優先して改善
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