もし世界の注目のなかで逮捕されるなら、チューリッヒの5つ星ホテル「ボー・オー・ラック」に勝る場所はない。とくに、長年にわたる巨額の汚職疑惑で逮捕されるような金満容疑者にとっては、これほどふさわしい舞台はないだろう。 米連邦検察局は、FIFA(国際サッカー連盟)の副会長ら関係者9人を含む14人を、脅迫、通信詐欺、資金洗浄、贈収賄など47の罪で起訴した。世界最大のスポーツ競技団体FIFAの内部では、組織ぐるみの大規模な不正が24年間にわたって続いていた模様だ。 ボー・オー・ラックはそんなFIFA幹部御用達のホテル。そこへ、米当局の依頼を受けたスイスの捜査当局が踏み込んだ。 絶大な権限を握るFIFA理事会は、他でもないこのホテルで「密室政治」を行ってきたらしい。スイートルームの宿泊料金は一泊数千ドル。アルプスの山々を望むチューリッヒ湖岸の広大な庭園に面し、数々の賞に輝いた2つのレストランやメンバ
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