国家を超える、とか、世界市民、地球市民などといった物言いがよくなされる。特に日本では左傾した人士が口にする。しかし欧州連合(EU)議会選でEUに反対する勢力が躍進したことは、この脱国家的な発想が現実的ではないこと語っている。ことに、安全保障への現実的な志向があるヨーロッパと違い、空想的平和に毒された戦後日本でこのような非現実的な理念がもてはやされることは、大変に危うい。日本を貶めた民主党政権 たとえばである。「東アジア共同体」を唱えた鳩山由紀夫元首相は、EUびいきだった。平成21(2009)年、シンガポールで行った演説でEUが「私の構想の原型」と述べている。そもそも、鳩山氏が連呼した「友愛」は、汎ヨーロッパ主義を唱えEUの父の1人とされるクーデンホフ・カレルギーの概念であり、鳩山氏はカレルギーへの共感を、総理就任直前に発表した「私の政治哲学」(「Voice」平成21年9月号)という論文でと
