長野県と山梨県にまたがる八ヶ岳の麓を走る小海線で,連日ヤスデが大発生して列車が止まり,新聞をにぎわしたのはもう20年も前の話です。このヤスデ,汽車を止めるからキシャヤスデと名づけられました。ヤスデは線路の上だけでなく,畑や家の中にも入り込むので,気持ち悪いと嫌われていますが,森にとっては大切な生き物です。調査の結果,今ではいつ,どこに発生するか予測できるようになりました。1996年の秋には東京都と山梨県にまたがる秩父・多摩地域で,予測通りキシャヤスデが大発生しています。 キシャヤスデってどんな虫? 脚のたくさんある細長い虫というとすぐムカデと勘違いして,かみつかれると恐がる人が多いようです。これはとんでもない誤解で,ヤスデはかみついたりしません。さわるとくるっと体を丸めるので,ムカデと区別できます。 キシャヤスデの体の長さは35mm,脚の数は雄は30対,雌は31対で,ヤスデの中では大きい方