そこでウォーキングの提案です。ウォーキングなら家の周りを歩いてもいいし、どこかに行くついでに1駅分歩くこともできるし、すぐにでも始められます。ただ、なんとなく歩くだけでは体力アップはむずかしいことも事実です。著者は科学的に「どれくらいの速度で」「どれくらいの頻度で」「どれくらいの時間行えば」「どんな効果が得られるのか」を徹底的に研究し明確にしました。その根拠となるのは、10年余りで7000人以上のデータを取った結果と分析。それがわかりやすく示されているので、なぜどのように体にいいのか、納得できます。そのようにして確立した、効果的で継続しやすい方法「インターバル速歩」を紹介。ややきついと感じる早歩きと、ゆっくり歩きを一定間隔で繰り返すだけのシンプルな方法です。
*本記事は『ウォーキングの科学 10歳若返る、本当に効果的な歩き方』(ブルーバックス)を抜粋・再編集したものです。
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インターバル速歩のやり方
前置きがずいぶん長くなったが、いよいよインターバル速歩のやり方とその根拠を述べよう。やり方については「たったこれだけ?」と拍子抜けされるかもしれないが、実はここまでくるのに10年以上かかっている。
(1)まず、図2―12に示すように、服装は軽い運動ができる程度のもので、靴は底が柔らかく曲がりやすく、踵にクッション性のあるものを選ぶ。
(2)数分間の下半身を中心とした軽いストレッチ(図2―13参照)を行った後、視線は25m程度前方に向け、背筋を伸ばした姿勢を保つ。
(3)足の踏み出しはできるだけ大股になるように行い、踵から着地する。慣れないうちは、1、2、3とカウントして、3歩目を大きく踏み出すようにする。この際、腕を直角に曲げ前後に大きく振ると大股になりやすい。
(4)速歩のスピードは個人が「ややきつい」と感じる運動である。すなわち、5分間歩いていると息が弾み、動悸がし、10分間歩いていると少し汗ばむが、もし、友人と歩いているのなら軽い会話ができる程度、15分間歩いていると♯脛{すね}に軽い痛みを感じる程度を目安とする。
(5)速歩の時間は3分間を基準とするが、これは、大部分の人が、これ以上の継続を困難と感じるからだ。したがって、3分間の速歩の後に3分間のゆっくり歩きを挟むと、また速歩をしよう、という気分になる。また、時計で正確に時間を測定しなくても、電柱などウォーキングコースの適当な目印にしたがって自分で設定してもよい。この速歩3分とゆっくり歩き3分のセットを、1日5セット(速歩が計15分とゆっくり歩き計15分)以上、週4日以上を繰り返すことを目標とするが、この基準量を、1日の通勤、買い物の行き帰りと分けて実施してもいいし、週末にまとめて実施してもよい。要するに週合計早歩き時間が60分以上となるが、これを5ヵ月間行えば先に述べた効果が得られる。