躍り出た「拡大BRICS」
ジェトロ 8月25日「BRICS拡大、6カ国の新規加盟に合意」と伝えられた。
これにより「拡大BRICS」は、南アフリカ共和国、中国、ブラジル、インド、ロシア、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の11ヵ国で構成されることになる。
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ブラジルのルラ・ダ・シルバ大統領は、「新加盟国を含めるとBRICSのGDPは世界の37%、世界人口では46%まで増える」と述べた。
ただ、拡大BRICS加盟国最大の経済である中国のGDP世界シェアが18%であり、インドは中国の5分の1程度であるから、ルラ大統領の数字は少し「盛っている」ように思える。
JBpress 8月30日「中国・インドがグローバルサウスの盟主の座を巡り激突へ、BRICS拡大にリスク」文中の「拡大後のBRICSのGDPの世界シェアは28%、人口のシェアは46%に上昇する」が、より実態に近い数字であると思える。
人口については、中国とインドはどちらも14億人以上で、両国だけで世界人口80億人の35%以上を占めるから、「拡大BRICSが人口大国」であることは間違いが無い。
安倍晋三氏の卓越した外交能力によって、米国離脱後にまとめ上げたTPP11については4年半前の2019年3月14日公開「TPP11の中心国・日本は世界再編のキャスティングボードを握るか」において大いに期待し、同時にASEANの将来も楽しみにしていた。
だが、「大原浩の逆説チャンネル<第2回・特別版>安倍元首相暗殺事件と迫りくるインフレ、年金・保険破綻」で述べたように、安倍氏という希有な才能が卑劣な殺人者によって失われたこともあってか、なかなか勢いがつかない。
2023年3月の英国加盟後のTPP(12ヵ国)のGDPシェアが15%、総人口は7.2%である。ASEANの世界GDPに占めるシェアは3.7%、人口は8.6%だから、両者を合わせても(ただし、シンガポール、ベトナムなどが重複する)拡大BRICSに大きく差をつけられた形だ。