はぎ号
はぎ号(はぎごう) は、かつて山口県山口市と萩市を結んでいた特急バスである。
本項目では、派生系統である「スーパーはぎ号」についても記す。
概説
編集本路線は、1971年3月より運行開始された国鉄バス防長線の萩観光特急便が前身である。運行開始当初は防府駅から山口駅を経由し東萩駅を結ぶ季節運行路線であった。
1975年3月10日の山陽新幹線博多開業に伴い、国鉄バスでは新幹線の時間短縮効果を山陰地区にも波及させるべく、小郡駅(当時)の新幹線口へ乗り入れを行なうことになった。小郡駅は防長交通の営業エリアであったことから、特急便については防長交通と相互乗り入れを行なうことになり、特急便の運行が開始された。「はぎ号」の愛称もこの時に設定された。
この時、小郡駅(現・新山口駅) - 萩市内間を乗車する場合についてはバス指定券制度を導入、新幹線の特急券と同時に「はぎ号」の乗車券も購入できるようにした。途中停留所からの乗車は空席がある場合に限られた。2010年現在は指定席制度は導入されておらず、全席自由席であるが、時刻表などに座席指定が不要である旨が特記されたり、一部インターネット時刻表検索にも表示されているのは、バス指定券を必要とした当時の名残とも言える。
乗車券は新山口駅新幹線口、萩バスセンター、東萩駅で発売する。中国JRバスと防長交通で経路が異なるが、「新山口駅新幹線口 - 萩バスセンター・東萩駅」の乗車券に限り共通乗車可。途中停留所で下車する場合は、それぞれの会社の乗車券を購入するか、現金による乗車となる。その他、山口県共通バスカードが利用できる。
2015年1月11日から「スーパーはぎ号」が運行されている[1]。2015年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』にちなんで旧萩市立明倫小学校体育館(萩市役所向かい)に「大河ドラマ館」が設置されるのに併せ、新山口駅と萩・明倫センター(大河ドラマ館前)をノンストップで結ぶもので、バスカードや通常のはぎ号の回数券は使用できない[2][3]。当初は1年間の期間限定運行の予定だったが、「花燃ゆ」放送終了後に大河ドラマ館が「萩・世界遺産ビジターセンター 学び舎(まなびーや)」(萩・明倫センター)にリニューアルされたのを受けて、運行を継続している。
2016年10月1日の中国JRバス防長線の路線再編により、同社運行便を「新山口駅⇔湯田温泉・山口駅」ミニ特急便[注釈 1]と「湯田温泉・山口駅⇔萩・明倫センター」普通便(東萩駅乗り入れ廃止)に系統分割し特急「はぎ号」を廃止[4](「スーパーはぎ号」は運行継続)。「はぎ号」は防長交通便にのみ付与されることとなった。
2017年10月1日、防長交通のダイヤ改正に併せ、「はぎ号」の運行終了[5] と、「スーパーはぎ号」の増便(4往復から8往復)[6] が発表された。新山口駅 - 東萩駅間の一般道経由路線については防長交通の普通便(平日9往復、日祝日7往復)が残るものの、都市間輸送については「スーパーはぎ号」にシフトすることになる。
「スーパーはぎ号」の中国JRバス担当便については2021年3月20日からICカード「ICOCA」が利用可能になっており[7]、防長交通便も2023年3月25日から「ICOCA」が利用可能となった[8][9]。
運行会社
編集運行経路・停車停留所
編集太字は停車停留所。
- 防長(2017年9月30日まで)
- 新山口駅新幹線口 - 新山口駅在来線口(萩行きのみ) - 国道9号 - 山口県道28号小郡三隅線 - 湯の口 - 長田 - 綾木 - 国道435号 - 大田中央 - 国道490号 - 絵堂 - 山口県道32号萩秋芳線 - 明木 - 萩道路 - 国道262号 - 萩バスセンター - 東萩駅 - 萩観光ホテル
- 東萩駅 - 萩観光ホテル間は2013年4月1日から一日1往復のみ運転。
- 新山口駅新幹線口 - 新山口駅在来線口(萩行きのみ) - 国道9号 - 山口県道28号小郡三隅線 - 湯の口 - 長田 - 綾木 - 国道435号 - 大田中央 - 国道490号 - 絵堂 - 山口県道32号萩秋芳線 - 明木 - 萩道路 - 国道262号 - 萩バスセンター - 東萩駅 - 萩観光ホテル
- JR(2016年9月30日まで)
- スーパーはぎ号(JR・防長とも)[10]
運行回数
編集1984年の時点では、国鉄バス6往復・防長交通9往復の計15往復が設定されていた。このうち3往復は冬季運休となっていた。
- はぎ号(通常便・2017年9月30日まで)
- 昼行萩行き6本・新山口(小郡)行き8本
- スーパーはぎ号(2017年10月1日から)
- 昼行8往復 - 中国JRバスと防長交通が4往復ずつ担当
運行車両
編集国鉄時代、国鉄バスでは三菱ふそうB905Nを7台導入した。前中扉でハイバックシート装備の観光タイプ車両であった。防長交通では近鉄バス貸切車を譲受して使用していた。
JRバスは永く三菱ふそう・エアロバス(初代)を専用車として用いていたが、近年車両更新を行いいすゞ・ガーラHD(初代)が主に用いられていた。2015年1月からは全便が防長線普通便と共通運用となり、いすゞ・エルガなどの2ドア一般路線車が用いられる旨がリリースされている[11]。なお、スーパーはぎ号には従前の高速タイプの車両が用いられている。ハローキティ新幹線の運行に合わせ2018年9月6日から、「ハローキティ新幹線」ラッピングバスが運行されている[12]。
防長交通は過去貸切車両の路線転用車(日野・ブルーリボンRU、日野・セレガ(初代)など)が担当していた。近年、車両運用の関係で防長交通でも一般路線車が運用に就く事がある。スーパーはぎ号には福岡線から転用された、近鉄塗装の日野・セレガRが使用されている。過去には両社専用のラッピング車両が在籍しており、優先的に運用に入っていた。(防長交通は、三菱ふそうエアロクィーンII、中国JRバスは、三菱ふそう・エアロバスだったが、両車廃車済み)[3]。
備考
編集- 希に「萩号」と表記されることがあるが、ひらがな表記が正当。
- JRバスは山口駅 - 東萩駅間の普通便、防長は新山口駅 - 東萩駅間の普通便がある。防長の普通便では新聞輸送を行っている。
関連項目
編集参考文献
編集- 『鉄道ジャーナル』1984年6月号「特集・国鉄バス1984」
- バスジャパン・ハンドブックシリーズ5「中国ジェイアールバス」(1996年・BJエディターズ)
脚注
編集- 注釈
- ^ 2019年3月に運行終了。
- 出典
- ^ “大河ドラマ館への直通バス運行開始 新山口から1日4往復”. 山口新聞. (2015年1月12日) 2015年1月13日閲覧。
- ^ 『新山口駅新幹線口⇔萩・明倫センター(大河ドラマ館) 直行バスの運行について』(プレスリリース)中国ジェイアールバス、2015年1月5日 。2015年1月13日閲覧。
- ^ a b 『平成27年1月11日から新山口駅⇔萩市・大河ドラマ館間直行バスを運行致します』(PDF)(プレスリリース)防長交通、2015年1月9日。オリジナルの2015年1月13日時点におけるアーカイブ 。2015年1月13日閲覧。
- ^ 『山口エリア路線バス 10月1日ダイヤ改正について』(プレスリリース)中国ジェイアールバス、2016年9月26日。オリジナルの2016年10月1日時点におけるアーカイブ 。2016年9月29日閲覧。
- ^ 特急はぎ号廃止のお知らせ (PDF) - 防長交通
- ^ 「スーパーはぎ号」増便及び路線延伸のお知らせ (PDF) - 防長交通
- ^ 『山口県内のバスへ交通系ICカードICOCA導入のお知らせ』(PDF)(プレスリリース)中国ジェイアールバス・西日本旅客鉄道、2021年3月3日 。2022年9月17日閲覧。
- ^ 『2023年3月 防長交通の路線バスにICOCAを導入します』(PDF)(プレスリリース)防長交通・西日本旅客鉄道、2022年9月8日 。2022年9月17日閲覧。
- ^ 『2023 年 3 月 25 日 防長交通の路線バスでICOCAが利用可能になります』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道・防長交通、2023年1月31日 。2023年2月1日閲覧。
- ^ “萩観光、よりスムーズに ノンストップバスや大型駐車場”. 日本経済新聞. (2015年1月10日) 2015年1月30日閲覧。
- ^ 『山口エリア路線バスの運行車両変更について』(プレスリリース)中国ジェイアールバス、2015年1月5日 。2015年1月13日閲覧。
- ^ 『「ハローキティ新幹線 ラッピングバス」の運行について』(プレスリリース)中国ジェイアールバス、2018年9月3日 。2019年12月1日閲覧。