ロイ・エストラーダ
ロイ・エストラーダ(Roy Estrada、1943年4月17日 - )は、アメリカ合衆国のベーシスト、作曲家。フランク・ザッパが率いたザ・マザーズ・オブ・インヴェンション(以下、MOI)のオリジナル・メンバーで、MOIの同僚だったローウェル・ジョージとリトル・フィートを結成した。2012年1月からテキサス州の刑務所に服役している[1]。
ロイ・エストラーダ Roy Estrada | |
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ロイ・エストラーダ(2006年) | |
基本情報 | |
別名 |
Roy Ralph Moleman Guacamole Guadalupe Hidalgo Estrada Oréjon |
生誕 | 1943年4月17日(81歳) |
出身地 | アメリカ合衆国 カリフォルニア州サンタアナ |
ジャンル | ロックンロール、R&B、ファンク、ロック、ドゥーワップ、エクスペリメンタル・ロック、フュージョン |
職業 | ベーシスト |
担当楽器 | ベース、ボーカル、ギタロン |
活動期間 | 1964年 - 1994年、2000年 - 2012年 |
共同作業者 | ザ・マザーズ・オブ・インヴェンション、リトル・フィート、キャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンド |
来歴
編集カリフォルニア州サンタアナにて、ヒスパニックの家系[2]に生まれる。本名は、ロイ・ラルフ・モレマン・グアカモーレ・グアダルーペ・イダルゴ・エストラーダ(Roy Ralph Moleman Guacamole Guadalupe Hidalgo Estrada)[3]。アコーディオン、ギターを経て12歳の時にベース・ギターを弾くようになった。16歳の時から音楽活動を始め、1960年にはロイ・エストラーダ・アンド・ザ・ロケッティアーズを結成してシングルを発表した[4][5]。
1964年、レイ・コリンズ(ボーカル)、ジミー・カール・ブラック(ドラムス)らとR&Bグループのザ・ソウル・ジャイアンツを結成。彼等は1965年にザッパを迎えてバンド名をザ・マザーズに変更し、さらにデビュー・アルバム『フリーク・アウト!』(1966年)の発表に際して正式にMOIを名乗るようになった。エストラーダはMOIのオリジナル・メンバーとしてベース・ギターとファルセット・ボーカルを担当した。
1969年10月にザッパがMOIの解散を宣言すると、同年5月に薬物摂取を理由にMOIを解雇されたローウェル・ジョージとリトル・フィートを結成した[5]。そして2作のアルバムの制作に携わったが、支持がほとんど得られなかったので、2作目の『セイリン・シューズ』をもって離脱した。
1972年、ドン・ヴァン・ヴリートが率いるキャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドに加入して、アルバム『クリア・スポット』の制作とライブ活動に携わった[注釈 1][6][7]。
1975年9月、MOIに復帰して12月までの国内及びカナダでのツアーに参加。1976年1月から3月まで、MOI最後のライブ活動となったハワイ、日本、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパを巡るワールド・ツアーに参加し、2月にはMOIにとってもザッパにとっても唯一の日本公演のメンバーとして来日した。ツアー終了後、MOIを消滅させてソロ活動に専念するようになったザッパの『ズート・アリュアーズ』[注釈 2](1976年)の制作に参加。その後も彼の『たどり着くのが遅すぎて溺れる魔女を救えなかった船』(1982年)、『ザ・マン・フロム・ユートピア』(1983年)などのアルバムに参加した。
下記の罪状で服役して2002年に釈放され、音楽界に復帰してMOIの元メンバーとともにザ・グランドマザーズのライブ活動を不定期に開催した。
服役
編集1977年、児童性的虐待の容疑で逮捕されて有罪判決を受けた[8]。
1994年、同罪で逮捕され、懲役6年の判決を受けて服役した[1]。2002年に釈放。
2008年より近所の子供達に性的虐待を繰り返していた容疑で2011年に再逮捕。2012年1月に懲役25年の判決を受け[1]、音楽界で活動する可能性をほぼ完全に失った。
2023年の時点で服役中である。
ディスコグラフィ
編集ザ・マザーズ・オブ・インヴェンション
編集ザッパの生前に発表されたものに限る[5]。
- オリジナル・アルバム
- 『フリーク・アウト!』– Freak Out! (1966年)
- 『アブソリュートリー・フリー』– Absolutely Free (1967年)
- 『ウィー・アー・オンリー・イン・イット・フォー・ザ・マニー』– We're Only In It For The Money (1968年)
- 『クルージング・ウィズ・ルーベン&ザ・ジェッツ』– Cruising With Ruben & The Jets (1968年)
- 『アンクル・ミート』– Uncle Meat (1969年)
- 『バーント・ウィーニー・サンドウィッチ』– Burnt Weeny Sandwich (1970年)
- 『いたち野郎』– Weasels Ripped My Flesh (1970年)
- 『アヘッド・オブ・ゼア・タイム』– Ahead Of Their Time(1993年)
- コンピレーション・アルバム
- 『マザーマニア』– Mothermania(1969年)
リトル・フィート
編集- 『リトル・フィート・ファースト』– Little Feat(1971年)
- 『セイリン・シューズ』– Sailin' Shoes(1972年)
キャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンド
編集- オリジナル・アルバム
- 『クリア・スポット』 – Clear Spot(1973年)
- コンピレーション・アルバム
- 『グロウ・フィンズ:レアリティーズ 1965–1982』 – Grow Fins: Rarities 1965–1982(1999年)
- 『ザ・ダスト・ブロウズ・フォワード(アン・アンソロジー)』 – The Dust Blows Forward (An Anthology)(1999年)
- 『サン・ズーム・スパーク:1970・トゥ・1972』 – Sun Zoom Spark: 1970 To 1972 (2014年)
フランク・ザッパ
編集『文明、第三期』以外、ザッパの生前に発表されたものに限る[5]。
- オリジナル・アルバム
- 『ズート・アリュアーズ』 – Zoot_Allures (1976年)
- 『黙ってもう少しギターを弾いてくれ』 – Shut Shut Up 'N Play Yer Guitar Some More (1981年)
- 『たどり着くのが遅すぎて溺れる魔女を救えなかった船』 – Ship Arriving Too Late To Save A Drowning Witch (1982年)
- 『ザ・マン・フロム・ユートピア』 – The Man From Utopia (1983年)
- 『ベイビー・スネイクス』 – Baby Snakes (1983年)
- 『ゼム・オア・アス』 – Them Or Us (1984年)
- 『シング・フィッシュ』 – Thing-Fish (1984年)
- 『文明、第三期』 – Civilization Phaze III (1994年)
- コンピレーション・アルバム
- 『オールド・マスターズ・ボックス1』 – The Old Masters Box One (1985年)
- 『オールド・マスターズ・ボックス2』 – The Old Masters Box Two (1986年)
- 『オン・ステージ Vol.1』 – You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 1 (1988年)
- 『オン・ステージ Vol.3』 – You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 3 (1989年)
- 『オン・ステージ Vol.4』 – You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 4 (1991年)
- 『オン・ステージ Vol.5』 – You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 5 (1992年)
- 『オン・ステージ Vol.6』 – You Can't Do That On Stage Anymore Vol. 6 (1992年)
フィルモグラフィ
編集参考文献に基づく[5]。
- 『ベイビー・スネイクス』 – Baby Snakes(1979年)[9][10]
- Video from Hell(1987年)[11][12]
- Uncle Meat(1987年)[13][14]
- The True Story of Frank Zappa's 200 Motels(1989年)[15][16]
脚注
編集注釈
編集- ^ 彼が加入した時、キャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンドには、MOIで一緒だったエリオット・イングバー(ギター)とアート・トリップ(ドラムス、パーカッション)が在籍していた。メンバーは全員、ヴァン・ヴリートがつけた奇妙なステージ名を名乗ることが義務だったので、エストラーダは"Oréjon"と名乗った。
- ^ 同年2月3日に大阪厚生年金会館で開かれたMOIの来日公演で録音された'Black Napkins'が収録された。
出典
編集- ^ a b c “元フランク・ザッパ・バンドのベーシスト、幼児虐待で逮捕”. Aol News. (2012年2月27日). 2013年4月12日閲覧。
- ^ Frank Zappa: (1) The Original Mothers Era オリジナル・マザーズ期 (1966-1970 by the album release years)
- ^ Discogsでのプロフィール(英語)
- ^ “Discogs”. 2023年4月1日閲覧。
- ^ a b c d e Ulrich (2018), p. 364.
- ^ Barnes (2011), pp. 157–158.
- ^ Ulrich (2018), p. 365.
- ^ homefacts.com Roy Ralph Estrada(現在、リンク切れ)
- ^ “zappa.com”. 2023年3月13日閲覧。
- ^ “imdb.com”. 2023年3月12日閲覧。
- ^ “zappa.com”. 2023年3月13日閲覧。
- ^ “imdb.com”. 2023年3月12日閲覧。
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- ^ “zappa.com”. 2023年3月13日閲覧。
- ^ “imdb.com”. 2023年3月12日閲覧。
引用文献
編集- Barnes, Mike (2011). Captain Beefheart: The Biography. London: Omnibus Press. ISBN 978-1-78038-076-6
- Ulrich, Charles (2018). The Big Note: A Guide To The Recordings Of Frank Zappa. Vancouver: New Star. ISBN 978-1-55420-146-4
外部リンク
編集- Roy Estrada - Myspace
- beefheart.comでのディスコグラフィー(英語)
- グランドマザーズ公式サイト(英語) - 元MOIのメンバーによる再結成プロジェクトの公式サイト。