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肉鰭類

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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肉鰭類
生息年代:
後期シルル紀現世, 425–0 Ma[1]
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
階級なし : 顎口類 Gnathostomata
階級なし : 真顎口類 Eugnathostomata
階級なし : 真口類[2] Teleostomi
階級なし : (和名なし) Euteleostomi
: 硬骨魚綱 Osteichthyes
亜綱 : 肉鰭亜綱 Sarcopterygii
学名
Sarcopterygii Romer, 1955[3]
シノニム[3]
  • Herpetichthyes Huxley, 1880
  • Amphibioidei Hubbs, 1919
  • Choanichthyes Romer, 1937
和名
肉鰭類
下位分類(†は絶滅群)

肉鰭類(にくきるい、Sarcopterygii)は、硬骨魚類に属する脊椎動物の一群である。

概要

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シーラカンスハイギョを含む脊椎動物亜門の下位系統群。分類階級としては硬骨魚類の階級の移動に伴い上綱[4]や綱[5]、亜綱[6]などとすることもある。肉質のを持つ。

四肢動物(陸上脊椎動物)はこのグループから進化したと考えられている。したがって、四肢動物を含めない限り、肉鰭綱は側系統群となる。四肢動物を肉鰭綱の1亜綱と扱うことで単系統群にする立場もある[7]が、この立場を採用すると、通常は独立のとされる四肢動物の各群(両生類爬虫類鳥類哺乳類)を下綱以下の分類階級にしなければならない[8]

シーラカンスを除く総鰭類とハイギョは内鼻孔を持つことから、内鼻孔魚類とも呼ばれる[9]。一方でハイギョの内鼻孔は後外鼻孔が口の中に開いたものとされ、オステオレピス類や四肢動物の内鼻孔と相同ではないとも考えられており[7]、後者を内鼻孔類Choanataとしてまとめる説もある[8]

分類

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現生肉鰭類の系統仮説

軟骨魚類

条鰭類

輻鰭類(シーラカンス目)

肺魚類(ハイギョ目)

四肢類(四肢動物)

肉鰭類
甲斐 (2018) に基づく[6]

矢野 (2006)[5]・甲斐 (2018)[6] に基づく。現生のもののみを示す[10]。なお、肺魚亜綱と四肢動物亜綱を肺魚四肢動物亜綱Dipnotetrapodomorphaとしてまとめることもある[5][11]。またハイギョ類の2目を亜目としてハイギョ目Ceratodontiformesとする分類もある[4][11]

現生の3系統のほかに、オステオレピス目英語版などの化石分類群が知られている[7]。シーラカンス目とオステオレピス目などを総鰭類Crossopterygiiとしてまとめる説もあったが、シーラカンス目はほかの現生肉鰭類の姉妹群(輻鰭類Actinistia)であり、オステオレピス目やリゾドゥス形類Rhizodontiformes、エルピストステゲ類Elpistostegalia(=パンデリクチス類Panderichthyida)は四肢動物と単系統群(四肢形類Tetrapodomorpha)を形成すると考えられている[7][8]ポロレピス目英語版は肺魚類Dipnoiの姉妹群と考えられており、肺魚形類Dipnomorphaを構成する[8]。肺魚形類と四肢形類は扇鰭類Rhipidistiaとしてまとめられる[8][12]オニコドゥス類英語版は扇鰭類と輻鰭類より初期に分岐した基盤的なグループだと考えられているが[8]、オニコドゥス類を扇鰭類の姉妹群として両者を肺魚四肢動物亜綱に含める説も提唱されている[11]

脚注

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注釈

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  1. ^ 四肢類とエルピストステゲ類を姉妹群とする説や、四肢類をエルピストステゲ類の内群とする説がある。本項目では四肢類を含めない化石分類群として扱った。

出典

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  1. ^ Zhao, W.; Zhang, X.; Jia, G.; Shen, Y.; Zhu, M. (2021). “The Silurian-Devonian boundary in East Yunnan (South China) and the minimum constraint for the lungfish-tetrapod split”. Science China Earth Sciences 64 (10): 1784–1797. Bibcode2021ScChD..64.1784Z. doi:10.1007/s11430-020-9794-8. https://www.researchgate.net/publication/353479392. 
  2. ^ パーカー 2020.
  3. ^ a b Alfred Sherwood Romer, “Herpetichthyes, Amphibioidei, Choanichthyes or Sarcopterygii?,” Nature, Volume 176, Nature Publishing Group, 1955, Page 126, https://doi.org/10.1038/176126a0.
  4. ^ a b Ricardo Betancur-R, Edward O. Wiley, Gloria Arratia, Arturo Acero, Nicolas Bailly, Masaki Miya, Guillaume Lecointre & Guillermo Ortí, “Phylogenetic classification of bony fishes,” BMC Ecology and Evolution, Volume 17, BioMed Central, 2017, Article number: 162. https://doi.org/10.1186/s12862-017-0958-3.
  5. ^ a b c 矢野衛「魚類分類表」『脊椎動物の多様性と系統』、338-340頁。 
  6. ^ a b c 甲斐嘉晃「脊椎動物(魚類)――水中で多様に進化した分類群」、日本動物学会 編『動物学の百科事典』丸善出版、2018年、92-95頁。
  7. ^ a b c d 矢野衛 著「魚類の多様性と系統分類」、松井正文 編『バイオディバーシティ・シリーズ 7 脊椎動物の多様性と系統』岩槻邦男・馬渡峻輔 監修、裳華房、2006年、46-93頁。ISBN 4785358300 
  8. ^ a b c d e f 松井正文 著「脊椎動物の多様性と進化」、松井正文 編『バイオディバーシティ・シリーズ 7 脊椎動物の多様性と系統』岩槻邦男・馬渡峻輔 監修、裳華房、2006年、2-43頁。 
  9. ^ 田隅本生「脊椎動物における鼻器の進化と多様性」『耳鼻咽喉科展望』第14巻第1号、1971年、9-16頁、doi:10.11453/orltokyo1958.14.9 閲覧は自由
  10. ^ 矢野衛「肉鰭綱」、松井正文 編『バイオディバーシティ・シリーズ 7 脊椎動物の多様性と系統』岩槻邦男・馬渡峻輔 監修、裳華房、2006年、219-221頁。
  11. ^ a b c Joseph S. Nelson, “Subclass Dipnotetrapodomorpha,” Fishes of the World (4th ed), John Wiley & Sons, 2006, Pages 462.
  12. ^ Per Erik Ahlberg, “A re-examination of sarcopterygian interrelationships, with special reference to the Porolepiformes,” Zoological Journal of the Linnean Society, Volume 103, Issue 3, Linnean Society of London, 1991, Pages 241–287, https://doi.org/10.1111/j.1096-3642.1991.tb00905.x.

参考文献

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  • パーカー, スティーヴ 著、日暮雅道・中川泉 訳、養老孟司 日本語版監修 編『生物の進化大事典』三省堂、2020年6月9日。ISBN 978-4385162409 

関連項目

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外部リンク

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