What's Ingress ?

「Ingress」の生みの親、ジョン・ハンケ氏が日本のエージェントに“ミッション”

別井貴志 (編集部) 井指啓吾 (編集部)2015年03月13日 08時30分

 「世界を良くするために必要なのは、人が外に出ることだ」。

 先日掲載した川島優志氏へのインタビューで、Niantic Labs(ナイアンティック・ラボ)の創業者でGoogleの副社長であるJohn Hanke(ジョン・ハンケ)氏が「Ingress」に寄せる思いが語られた。

 “世界を良くするため”に、Hanke氏は今後、Ingressをどのように進化させようとしているのか。いま世界で起きているムーブメント、Android Wearへの対応、3月28日の京都でのイベントなどへの思いを交えて、本人に聞いた。


John Hanke氏(中央)。2014年12月13日に開かれた公式イベント「DARSANA Tokyo」にて

――先日川島さんから、Ingressの始まりから現在までの詳しい話をお聞きしました。Hankeさんに直接お聞きしたいのは、いま世界で起きているさまざまなムーブメントに対してどのように考えているかということです。

Hanke:こういうムーブメントはポジティブだと思っています。各国にいろいろなコミュニティができているし、国同士の交流もできています。先日の東京でのアノマリーも、中国や韓国、台湾、香港、マレーシアの方々が来ていて、一緒にプレイしていたのを見て嬉しくなりました。

 エンライテンド(緑)とレジスタンス(青)という陣営に分かれてはいますが、だからといって、人々が離れているというよりは、お互いが協力して楽しんでいるのではないかと思います。

――特に日本では、地方自治体が町おこしにIngressを活用したり、夜中に活動するエージェントが自警団のボランティアに登録したりと独特なムーブメントが起きています。

Hanke:米国の場合、公園などには夜に人がいませんが、エージェントが活動することで、より安全になると考えられます。公共の場のセキュリティが良くなることはいい点だと思います。

 よくエージェント(Ingressプレイヤー)から教えてもらうことなのですが、Ingressを始めてから、今まで行かなかったような場所を発見したり、今まで知らなかった歴史的、文化的な場所に触れたりするようになりました。それによって、自分たちの住んでいる街や国への誇りを持てるようになったということを言ってくれます。これは、非常に嬉しいですね。

――「Ingress for Android Wear」が発表されて、Ingressが次の段階に進んだ気がします。今後、Ingressをどうしていきたいのか、また、していくべきだと考えているのか、短期的と長期的に分けてお話しいただけますか。

Hanke:短期的には、コミュニケーションの部分をより向上させていきます。特にコミュニティに関しては、Ingressの核心要素になっていくので、イベントとゲームをより深く結びつけて、楽しんでもらうことを考えています。それが来る6カ月間の目標です。

 長期的には、芸術的なものの内容をより充実させようと思っています。

――長期的な部分に関して、川島さんから「Ingressは世界中の情報を集めた膨大なデータベースであり、今後それをプラットフォームにしたさまざまな展開を考えている」と聞きました。そこについて、Hankeさんはどう考えていますか。

Hanke:Ingressという1つのゲームがすべての人の思考にマッチするのは難しいので、他のデベロッパーの力を借りて、さまざまなジャンル、テーマのゲームを作ってもらおうと考えています。

 ただしその場合も、「ユーザーがさまざまな場所を探索できる」というテーマは共通要素として、他のゲームにも反映させていければと思っています。


DARSANA Tokyoに集まった日本のエージェントを前にスピーチをするHanke氏。京都のイベント「Shonin(証人)」は3月28日に開催される

――京都のイベントに向けて、エージェントにメッセージをいただけますか。

Hanke:日本のエージェントと会えることを楽しみにしています。京都の歴史的な背景を考えると、現地のXM(エキゾチックマター、Ingressでは「謎のエネルギー」として扱われている)はとても強いものになっていますので、アノマリー(Ingressの世界戦)として最大のものになると期待しています。京都は個人的にもお気に入りの場所なので、行くのが楽しみです。

 あとは、東京のアノマリーでもありましたが、エージェントの自作アイテムの展示が面白かったので、京都でも同じことができればと思っています。

 それから、日本のエージェントたちにリクエストがあります。特に、ポータルの説明文(Description)を充実させてほしいのです。どのような場所で、どんな芸術品なのか、どのような歴史があるのか、どのようなクリエイターが作ったのかなどの説明文の作成でご支援いただきたいです。

 そうすれば、「教育」という面でも充実しますし、それぞれの地域の“宝”をより多くの人にうまく見せて、認知し、広められるようになると思います。

――日本では東京、そして京都が舞台となっています。次にアノマリーを日本で開くとしたら、どの地域を考えていますか。

Hanke:それはまだわかりません。ただ、また日本にくるのは間違いありません。

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