ノークリサーチは3月14日、2016年のいくつかの調査レポートをベースに、ERP市場におけるリプレース提案のポイントについて発表した。
この提案は、「2016年版 中堅・中小企業のITアプリケーション利用実態と評価レポート」「2016年版 中堅・中小企業におけるクラウドERP導入の動向予測レポート」「2016年版 中堅・中小企業における業務支援クラウドの動向予測レポート」を基にしている。同社によれば、今後1年以内にERPや基幹系システムの刷新を予定している中堅・中小企業は5〜25%に及ぶという。
提案のポイントは3つあるとし、「ERP本体とユーザー個別機能実装との整合性維持には直販/間販の違いも大きく影響する」「ERP機能ニーズには、クラウド移行/連携につながりやすいものとそうでないものがある」「経費精算や人材データベースなどの業務支援クラウドサービスとの連携も求められてくる」といったことを挙げた。
整合性維持での直販/間販の違いの影響については、「ERP製品/サービスが持つべき機能や特徴」について回答を求めた結果を基に解説している。
導入社数シェア上位5つの製品/サービスは、他の製品に比べて「プログラミングを伴わずに機能の追加/変更をユーザー自身が実施できる」「カスタマイズ部分と本体の階層を分けて、互いを分離できる」ことを重視するという回答が、他の製品/サービスに比べて高かった。このように、ユーザーはERP製品/サービスのリプレースを行う上で、機能の追加/変更やカスタマイズのしやすさに着目しており、インテグレーションを担う販社/SIerとパッケージ開発元が別である場合(パッケージの間販比率が高い場合)は ERPパッケージ本体に整合性維持のための高度な仕組みが求められるとしている。
ERP製品/サービスが持つべき機能や特徴(複数回答可)(年商500億円未満全体) 導入社数シェア上位5つの製品/サービスと全体との比較
ERP機能のニーズとクラウドとの関係性については、販売・仕入・在庫に関する各機能とクラウドとの関わりについてたずねた結果を基に解説している。
この設問で「データ分析に基づく売上のシミュレーション」という機能を望むユーザー企業は、同機能を実現する上でクラウド移行やクラウド連携を選択したいと考える割合は18.4%となった。これは、この機能について「クラウド活用とは無関係」と回答する割合(24.1%)と比べるとまだ低い。
しかし、「実店舗とeコマースを連携したO2Oの実現」や「RFIDタグやバーコードを活用した在庫管理」といった項目では「クラウド移行・連携を選択したい」と「クラウド活用とは無関係」という回答割合に差は見られない。
このことから、ERPベンダー側が「クラウド移行を推進したい」と考えるのであれば、求められる様々な機能の中で「クラウド移行またはクラウド連携で実現したい」の回答割合が高いものを訴求することが有効になるとしている。
販売・仕入・在庫に関する各機能とクラウドとの関わり(年商500億円未満全体)
業務支援クラウドサービスとの連携については、今後利用したいと考える業務支援クラウドをたずねた結果を基にしている。
結果は、「会計処理の簡便化サービス」「社員のモチベーション向上」が上位となった。同社では、スマートデバイスやクラウドサービスの普及によって業務や生活のスタイルが変化しつつあり、全ての業務をERP本体でカバーすることは難しくなってきていると指摘している。その上で、ユーザーに訴求、提案する場合は、業務支援クラウド移行につながる機能ニーズの把握を行い、開発/販売するERPパッケージとの適切な連携を進めることが重要とした。
今後利用したいと考える業務支援クラウド(複数回答可)(年商500億円未満全体)