普通の人が王者の戦略を真似をしちゃいけないと思う

こんにちは!けんすうといいます。。アルというマンガサービスをやっています。この記事は「アル開発室」という、サービスの裏側や考えていることをシェアするコミュニティから抜粋しています。

今「マンガを4つ入れると、オススメマンガを出すよ」みたいなのをやっているので、やってみてください!(期間限定になるかも)

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今日は「王者の戦略と弱者の戦略」について書きたいと思います。

この前、「giveをし続けましょう」みたいなビジネス書や自己啓発本の通りにしたけど、なかなかリターンがかえってこなくて辛い、みたいな相談をされました。

で、僕は「giveをし続けたほうがいいよね」はめっちゃ同意なんですが、、これは王道の戦い方だと思っていて、持たざるものがとっちゃいけない戦略だと思ったのです。

というわけで、ちょっとこのあたりを説明したいと思います。

まず、この「giveをし続けるほうがいいよ」というのは、リソースに余裕がある人がやるには有利なんですが、リソースがない人が、いきなり真似をしても、つらい類ものなんです。(ここでいう「リソース」とは、能力やお金や時間など、何かをするときの源みたいなイメージです)。

多くの人が、本とかで、「信頼が大事な時代では、giveをするべし」みたいなのを見て、よし、自分もgiveするぞ!といってやったりするんですが、10回くらいgiveしてたら「そろそろtakeしたいな」とか思っちゃったりします。

そして、変なタイミングでお金や何かリターンを要求して、「金目的かよ」などと言われて、信頼を失う・・・みたいなケースがよくあります。

なぜ失敗するかは簡単です。この戦略は、リソースが膨大にある人がやったら効率的なんですが、リソースがない人がやると、リソースがすぐに枯渇して、リターンを期待せざるを得ない、というものだからです。

例を出すと・・・

たとえば、僕のもとには、なんか知らない人からDMとかで事業相談とか、就職の相談とか、学生さんのキャリア相談がたっくさん来るんですが、割と全部返しています。返したら忘れるので、リターンとか気にしません。

しかし、これが出来る理由は「僕がいい人で、親切だから」ではなくて、

- 経験があるので、返すコストが低い(音声入力で数分で返すだけ)
- リターンがなくても大丈夫な余裕がある

だからなだけです。

わかりやすい他の例もだしておくと・・・

とある超有名企業の社長は、寄付のお願いをされるたびに、NPOとかであればどの団体にも無条件で100万円を振り込んでいるというのを聞いたことがあります。これは、3000億の資産がある人の100万円は、100万円の貯金の人の3000円にすぎないからで、年に10本寄付しても、3万円なので、余裕でできるという感じです。

もっというと、単純計算では「100万円の3万円」ですが、どんなにお金を持っていても、同じものは同じお金で買えるわけで、もしかしたら実感値としてはもっと少額の感覚かもしれません。

しかし、寄付される側としてみたら100万円は大金です。

というので、寄付を受け取る側は「100万円もくれた!」となりますが、払う側にしてみたら5円を払っているだけ、なのでリターンとかを気にせず、giveだけをし続けられる・・・みたいなことが起こります。

これはお金だけじゃなくて、時間というリソースだったり、影響力というリソースだったりしても同じです。フォロアーが10万人いれば、RTするだけで感謝されまくったりしますが、フォロアーが100人の人は、それ以外にもがんばらないと感謝されなかったりするのです。

数値になおして比較すると、1秒で100の感謝が得られる人と、100時間かけて10しか感謝が得られない人がいるということです。

というので「giveをし続けたほうがいい」みたいな戦略が取れるのは、お金や影響度が大きい「勝ち組」だったりしかねません。いわゆる、リソースが大きい人による、「王道の戦略」です。

王道の戦略とは

リソースを「持っている」人は、王道の戦略が取れます。

上記は、銀河英雄伝説というマンガの一シーンです。

「必勝の戦略」を考えようとすると、つい相手を頭脳で上回り、相手の予想を読み切った上での戦いを想像したりしますが、実際は「敵の六倍の兵力をそろえ、補給と装備を完全におこなう」などのほうが有効です。

たとえば、大企業は、変なSNSキャンペーンを仕掛けようとするよりもCMを流したほうが効率的ですし、炎上しません。

Paypayなんかはまさにその例で

- 使えるお店の数が一番多いところが勝つ
- 消費者にとって一番還元率が高いところが勝つ

のが王道であって、そのために

- 営業人員をめちゃくちゃ雇って日本全店舗に入れようとする
- 還元率は、100億円用意し、法律の上限の20%を還元する

という戦略をとりました。

PayPayで加盟店開拓にあたる営業人員は数千人規模としており、個人店向けの営業も積極的に行っていくとみられます。

還元率20%の衝撃──スマホ決済のPayPay、100億円バラマキでキャッシュレス市場に攻勢 | TechCrunch Japan 
─競合も多いですが、PayPayはどうやって勝ち抜いていきますか。

簡単な話です。金をつぎ込むだけです(笑)。絶対に勝ちます。

「経済圏なんて時代錯誤」ソフトバンク宮内社長に聞くPayPayの勝算 

Paypay陣営は「お金をつぎ込めば勝つから、お金をつぎ込む」というふうにいっているだけでして、一見、策が乏しいように見えてしまいますが、この戦略がとれるほどリソースがあるなら、確実にそれをやったほうがいいわけです。

ただし、当たり前ですが、リソースがない人がこれをやろうとすると、すぐに破綻して、何も得られないわけです。

弱者の戦略

じゃあ、持たざるもの戦略としては何がいいか?なんですが・・・。

これにおいては「持っていないことを武器にする」が正解だと思います。

抽象的にいうと、「これをやると、今持っている資産がゼロになるけれども、5年後には1億になる」といったものがあるとします。

今資産がゼロになってしまうとしたら、10億円持っている人はそれをすることができません。9億円損をするからです。

しかし、今、1万円しか持っていない人は1万円がゼロになったとしても、マイナスは1万円だけなので、それを実施することができます。

たとえば、僕が19歳のときに作ったサービスは匿名掲示板でして、それは「名誉毀損とかで訴えられる可能性がある」「警察沙汰になることが多い」というものでして、普通の会社とかには作れないものでした。

普通の会社だと「訴えられる」という時点でレピュテーションリスクがあったり、クレームをハードに入れられるとちゃんと対応をせざるを得ないというのがあるのですが、学生個人がやっていると、「うちのポリシーなので、こうします」とピシャリと対応をしても、相手がそれ以上、何かをするのが無理になります。

というので、匿名掲示板などは持たざるものがやると有利だけど、持っているものが大きい会社がやるのは無理、というものでした。

他にも、信頼という観点でもそうです。すでに信頼が高い人は信頼を大きく損ないそうなものはすることができません。

僕個人は手法としては好きではないんですが、SNSで、いろいろな人を強く非難する、とか、炎上狙いでやる、みたいなやり方は、持たざるしかできません。YouTuberでも、過激なことをやってチャンネル登録数を伸ばすという人は一定数います

(※オススメはしません。その後の動きが制限されやすくなり、難易度があがるからです。うまく使いこなせる人は多くありません)。

まとめ

というので、「持っている人と、持っていない人では戦略は違うから、お互い参考しないほうがいい」と思ってるよ、という話でした。

基本方針としては、王道の戦いのほうが難易度が低いので、早めに持たざるもののゲリラ戦を抜けて、王道の戦いができるようになったほうが、戦いとしては単純になるので、そこを目指したほうが良いと思います。

というので、アル社も今、絶賛ゲリラ戦なのですが、SNSを活用してバズらせて話題を増やしてマンガを盛り上げつつ、それによって資産をためて「いいコンテンツがアルにあれば、見てもらえる」みたいな王道の状態に早くいって、そこから「良いコンテンツを作りまくる」という方向ができればなーと考えています。

こういう「私を構成する5つのマンガ」みたいなものを企画して、SNS上で展開することで、150万ユーザーくらいを集めましたが、これは完全にゲリラ戦であり、王道ではありません。

もっとアクセス数を増やして、もっと売上を増やして、王道の戦いを展開できるようにしないと行けないなーと思っているこの頃です。

そんな感じの戦い方をよく「アル開発室」には投稿しているのですが、これも「お金がないから、過程を見せることでお金をいただき、それでサービスを大きくしていく」という、トリッキーな技にすぎません。

というので、頑張っていかないとなーと思っています。

おまけ

ここからは余談です。会社員をやると、起業しづらくなってしまうと人が多いという話しです。

貯金をしてから、会社を立ち上げますという人もいます。しかし、そういう人はたいてい、起業をしないです。

何故でしょうか。

それは今、年間に500万円、稼ぐことができる人が起業をしたとしたら、マイナス500万円からスタートしてしまうからです。起業することで、1年間やって100万円しか稼げないのであれば、年間にマイナス400万円損したことになってしまいます。

これを機会損失と言ったりします。自分が一年間働いたことによって稼げる額が高いと、他のことをしてそれ以上稼げないと、そちらをやらなかったことによる損失が生まれるという考えです。

起業していきなり稼げるかどうかはわからないので、400万円損しますと言われるとなかなか躊躇してしまいますよね。

しかし収入がゼロの人であれば、起業をして一年間働いて100万円稼いだら、プラス100万円になります。やりやすいですよね。

もちろんキャッシュというのはとても大きな力があるので、「貯金をしてから起業する」という考え方はそんなに間違っていません。

しかし毎年500万円食べれる人が5年経ったら2500万円貯まっているのに、起業したらその2500万円が取れないかもしれない・・・と思った時に判断するのが難しくなるということはよくあります。

というので、「起業したいなあ」と思ってるけど、会社員としていい給与をもらっている人のほうが、ちょっと勇気が必要になってしまったりするので、学生や無職の人のほうが起業しやすいのかもしれないですね、という話しでした。

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