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令和7年に読む『有閑倶楽部』 【1】
1981年から連載が開始された少女マンガ『有閑倶楽部』を1巻から読んでいきます。作者がどのようなマンガ家なのか、この作品は有名なのか、少女漫画史でどう評価をされているマンガなのかなど、まったく知りません。何の知識もない、ほぼ真っ白な状態で作品と接した感想をそのまま記録していこうと思います。
この記事を書いている人
ほぼマンガを読まないまま生きてきた中年男性。5年前くらいからマンガを知りたいと思うようになり、勉強している。活字の読書が大好きで、本を読むのは得意な方です。マンガはコマ割りやオノマトペ、漫符などの表現をうまく理解できないので、ちょっと悩んでいる。マンガをきちんと読みこなすことができないという認識があり、マンガを読めるように練習中。その経緯については「マンガって読むの難しくないですか?」という記事にしました(以下リンク参照)。これまでに読んだ漫画は、人生でトータル250冊くらい。
『有閑倶楽部』を読んだきっかけ
お友だちに勧めてもらったため。基本的に人から勧められたものはなるべく読むようにしているのと、電子書籍が1冊77円でセールしていたので、19冊をまとめ買いして読むことにしました。
『有閑倶楽部』 1巻
あきらかに最近のマンガではない。マンガ全然読んだことないのに、この絵が昔のマンガの描き方なのは何となくわかる
1970年代の作品だろうか。小さい頃、床屋さんに置いてあったマンガの絵がこんな感じだった気がする。時代ごとに絵のスタイルも変遷しているんだろうな
著者は一条ゆかりさん。マンガを何も知らないので、この方が他にどんなマンガを描いているのか、マンガ家としてどのくらい有名なのかなど、何もわからないけど、ひとまずは情報を入れずに読んでいこう
『有閑倶楽部』の舞台は高校。聖プレジデント学園。私立だろうな。こんな名前の公立高校はないな
聖プレジデント学園、年間の学費いくらなんだ? 願書出したら私は入学できるのか。単願なら入れるのか。何かしらの強力なコネがないと、試験すら受けられなさそうな気がする
財閥の娘、実業家の娘など、実家が太すぎるキッズたちの登場だ
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絵がキレイだから物語に引き込まれてしまうな
スーパー高校生みたいなセレブ少年少女が主人公のマンガか
女性3人が中心人物だが、個々の設定を「男好き」「男ぎらい」「女にしかもてない」と割り振っているバランスが実にいい、現代的すぎる
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読者の多くは女性なはずで、女性のセクシャリティを3種に描き分けると、どのような女性にも受け入れられそうな気がした。特に「男ぎらい」を入れておくのが秀逸
「異性としての男性なんて必要なくてよ」! すごいせりふ! 時代を先取りしすぎててひっくり返っちゃう!!!
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「有閑倶楽部」は部活名でした。社交ダンス、囲碁、軽音が合体して有閑倶楽部
モテキャラのイケメン男子、名前が美童グランマニエ。いい名前すぎて、書き初めで半紙に筆で書いて床の間に飾りたくなった。美童グランマニエと名付けられた人間はモテるに決まってるんだ
「ナンパ」を漢字表記するのが昭和〜
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第1話のテーマは性加害
いきなりド直球で斬り込んできたぞ。2025年の日本も、まだまだこの問題で揺れ続けています
性被害を受けた結果、妊娠してしまい、途方に暮れて死を選びかけた女子高生を救う有閑倶楽部メンバー
このテーマを初回に持ってきた作者の想いやいかに
女の子に病院を紹介し、身体と心のケアをしてあげる。なるほど、実家の太さをこういう風に生かすのね
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この作品は、身勝手な大人、理不尽な社会に対して、スーパー高校生が反撃するという物語の定型なのだろうか
最終的には、性加害した中年男性にしっかりと社会的制裁をくわえて問題解決
被害を受けた少女への思いやりも忘れずに描いて1話終了。
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いやー、少女マンガはこんな重いテーマを描いているのか。驚き
小学生の女の子がこの話を読んでいたりするのか! 少女マンガは深い
2話はネックレスをめぐる陰謀
なるほど~こんな感じでサスペンス風味にも展開していくのね
この比喩的な感情表現(以下コマ参照)! なぜか急に光がピカーッとなる、これは映画や小説ではできない、マンガならではの感情の揺れ表現だ
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ネックレスに仕込まれたマイクロフィルムの謎、というスパイ映画仕立ての展開
こんなサスペンスを、高校生が仲良しパワーで解決してしまうトキメキのあらすじだ
3話。ダンス大会の回。ここにもまた大人の思惑が絡まって……
いきなりだけど「薬物研究会」ってなに
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なぜかマンガのなかで急に「私の好きなケーキ」を発表する作者
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当時はSNSとかないから、作品内で発表するしかなかったのだろう。おまけ情報みたいなの楽しい、好き〜
こうしたマンガ内の脱線みたいなのって、よくある表現なのだろうか
このお菓子紹介のコマに(昭和)57年とあるから、82年のマンガだとわかった。絵柄で70年代っぽく見えたけど、80年代の作品なのね
なぜか高校生のダンス大会が賭博の対象になってて、「100万パアか」などと信じられないせりふが出てくる。ちょっと倫理観のいかれた世界
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毎回、複数の物語が同時に絡み合ってひとつのストーリーを形作るのが、凝っててすごい。ストーリーがつねに二重で進行していくのだ
最後には「爆薬のタイムリミット」みたいな展開まで用意してあるぞ。アクションシーンもあって幅広い内容
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4話は財閥の娘が誘拐されるという話
誘拐犯が妙に善人で、ホンワカしてしまう回
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読者の女の子が生きていく上で感じる社会や他者への恐怖や不安を、有閑倶楽部が元気いっぱい蹴散らしていくのが魅力なのだと思った
「男のロマン」的なものをきっちり否定してるのがいいぞ
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おちこんだ人間のオノマトペが「おちこみ」。直球〜
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誘拐犯の脅迫状を猫が運んでくる、というほのぼの展開もまた少女マンガ風だ
誘拐された娘本人が、当初5000万だった身代金を10億にした方がいいと主張するのも愉快でよい
ゲーム感覚で親や警察を騙して10億円をせしめるという展開、ここに来てまともな善悪の価値基準はほぼ消滅
最後は、有閑倶楽部が身代金をもらってお小遣いにしちゃうハッピーエンディングに
ラスベガスで9億5千万使って豪遊する高校生、大王製紙の元会長を超えているのでは
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1巻の感想
絵に気品と美学を感じた
最初はどうしてスーパー高校生なのかよくわからなかったけど、大人社会とか、男性中心主義に立ち向かうアベンジャーズみたいなことなんだと理解できてからは、納得がいった
たしかに大人社会は男性の自分でも怖く感じた。ひどい目に合うのではと不安感があった。女性だとさらに怖さが増したのではないか
だからこそ、大人社会で無双する子ども集団、有閑倶楽部に共感できるというしかけがある
第1話のテーマが性加害、これだけで先進的な作品であることがわかる
とはいえ大人も子どもも倫理観が壊れている異世界の話なので、10億円がはした金だったりする
美童グランマニエ、名前が強すぎると思った
有閑倶楽部、最終的にはキューバ危機とかソ連崩壊みたいな世界的な事件にも絡んできそうな気がする。そして有閑倶楽部ならたぶん解決できる