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ゲームの価格設定って難しいよね ― 作ったゲームがあんまり売れなかった話

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※ なんか寂しいタイトルが付いてますが、面白おかしく書いてますのでお付き合いください
※ あと、何故か数日前からゲーム告知用twitterアカウントが凍結されちゃって困ってます、どういうことなの

デジゲー博で大人気!

基本ルールは画面下の猫の手を左右に移動させて「雨粒に当たらないように渡り廊下を渡りきる」というシンプルなもの。立ち止まらずに駆け抜けることで「ノンストップボーナス」が入ったり、得点アイテムの星を多数獲得してからゴールするなど特定の条件を満たしてゴールする事で特殊効果を持つ「バッジ」を獲得できるといった隠し要素的なボーナスの数々が仕込まれており、これらを活用したスコアアタックが楽しい作品だ。

デジゲー博2022で見つけたおすすめ同人・インディーゲーム7選

『Spelunky』のDerek Yuさんが大絶賛!

【和訳】楽しい演出、完璧なテンポ、そして謎めいたバッジシステムが、この一見単純な雨粒を避けるだけのをアーケードゲームを、「もう一回やってみよう」という強力な魅力を持つスコアチェイサーへと昇華させている。

Derek Likes It

歴史ある英国のEdge Magazineで8/10の高スコア!

【和訳】スプリント成功の後に流れる4種類のジングル、新しいランの前に流れる期待感を高めるケンブリッジのチャイム、「トップ5の勇敢な猫」を称えるリーダーボード、早々に終わってしまったランのフラストレーションを和らげるゲームオーバーのテキスト(「It's cooooooold!」)など、その演出にも本物の個性がある。良いアイデアは時代を超越するものだと思い知らされる。今からさらに40年経っても、このゲームはまったく古びていないことだろう。

Edge Magazine Issue#394, p.107

更には『UNDERTALE』のtobyfoxさんまで楽しんでくれた!
(天谷くんのお陰なんですけども!)

でも売れてない。そんなに売れてない。2年かけて作ったレトロなアクションゲーム『Raindrop Sprinters』は、思ったほど売れてくれませんでした。SwitchとSteamでリリースして1年、合計本数は900本くらい。いやあ、1,000本は行くと思ってたんですけどねえ。

Shuhei Miyazawa

初めましての方は初めまして。本業Webデザイナー、実家は喫茶店、そして個人でゲームを作っているShuhei Miyazawaと申します。学友・天谷大輔くんが作った『洞窟物語』のデバッガを務め、『La-Mulana』『薔薇と椿』のNIGOROさんと出会ったことでインディーゲームの世界に飛び込んだオールドルーキーです。2011年頃からデバッガやイベントスタッフなど裏方として業界に携わり、数多くのクリエイターさんと出会うことが出来ました。詳しいプロフィールは公式サイトをご覧ください。

Raindrop (2020)

ずっと裏方だった僕が一念発起して、コロナ禍の最中に作ったフリーゲーム『Raindrop』。これが思いのほか好評で、クリエイター仲間に推される形でアッパーバージョンのコンシューマ版を手掛けることになりました。とはいえ当方、フリーのミニゲームしか作ったことがないド素人。専門知識も乏しく不安だらけだったんですが、手を動かしてりゃ何とかなるやろと、根性で2年かけてリリースまで漕ぎ着けました(パブリッシャーのPlay,Doujin!プロジェクトさんにも相当助けてもらいました、ホントに感謝しています!)。

余談ですが、メインビジュアル(ネコちゃんと背景)は奥さんで、それ以外はプログラム・グラフィック・サウンド・ゲームデザイン・フライヤー・PVなど全てぼく一人で作っています。

Switch版のフライヤー・表
Switch版のフライヤー・裏
Raindrop Sprinters (2023) Standardモード
Raindrop Sprinters (2023) Maverickモード
  • ゲームモードの追加(4×2の8モード)

  • グラフィックの大幅な向上

  • 演出やBGMの大量追加

  • 壁紙の追加

  • 縦画面モードの実装

  • ピクセルパーフェクトモードの実装

  • ネットワークランキングの実装

かくして2023年8月、先行してSwitch版がリリース。プレスキットやPVを作って国内外にリリースを出し、長年お世話になっているクリエイターさん達から応援メッセージまでいただき(他社パブリッシャーであるPLAYISMさんroom6さんからも応援が!)、ちょっとしたお祭りになりました。これひょっとしたらいけるのでは?なんて取らぬタヌキをしてしまったり。

あれ、波が小さい……?

が、初動の波が小さい。Twitterで沢山の「買いましたよ!」報告をいただいたんですが、思っていたほど販売数が伸びていない。少し焦りつつ考えました、ひょっとしてSteam版を待ってる人が多いのかなと。

新たに黒猫も描いてもらったんですよ

12月、満を持してSteam版をリリース。実績や隠しモードの追加など沢山のアップデートを行い、Switch版も併せてアップデート。改めてプレスリリースを打って、今度こそ上手くいったはず!と思ったんですが、結果はSwitch版の時と同じくらいの小さな波でした。なんでやねん……!

なんでやねん……!
【レビュー】『レインドロップ・スプリンターズ』はプレイヤーを子ども時代に回帰させてくれる雨粒避けアクション。「水滴に当たったら負けな!」と、窓から手を出して遊んだ日々に再び熱中 - INDIE GAMES JOURNAL(インディーゲームジャーナル)【レビュー】『レインドロップ・スプリンターズ』はプレイヤーを子ども時代に回帰させてくれる雨粒避けアクション。「水滴に当たったら負けな!」と、窓から手を出して遊んだ日々に再び熱中 - INDIE GAMES JOURNAL(インディーゲームジャーナル)  いつからだろうか、雨の日が憂鬱になったのは。雨音は嫌いではない。しかし特有の空気感が、脱力を誘うのだ。さらに、低気圧によ indiegamesjournal.jp

その後も細かくアップデートを行い、話題を提供したりエゴサして直接プレイヤーさんに声をかけたり、色々やってみたものの大きな変化は見られず。たびたびメディアに取り上げてもらったりもしたんですが、凪の状態のまま気付けば1年の歳月が流れていました。凹みますよー、時間かけて作ったモノの反応が薄いと!そこへ誰々が◯◯を受賞とか、リリース直後で◯万本売れたとか、ドラマとかアニメとかになったとか流れてくると、そりゃ叫びたくもなりまモキャーッッッッッッッッ

心のあらぶりの図

さて、しんどい事ですが、今後を考えるのならば売れなかった原因を探らなければなりません。ゲームがつまらなかったのならば話は早いんですが、僕のゲームは評判が良かったんです。メディアの反応も上々だし、レビューを見てもエゴサをしてもみんな楽しんでくれている。じゃあ何が良くなかったのか。いくつか考えた理由の中で、一番はこれやろうなと思ったのが価格でした。

定価1,260円(税込)。一見強気に見えますよね。価格を決めるのってホント難しいです。当初ぼくは500円くらいを想定していたんですが、どうやらこれがかなり安いようで。あちこち相談して、悩み倒して、結局この価格に決めました。このゲーム、見た目的に一般受けはしづらそうだけども、コアなファンには刺さるはず。そしてこういったニッチなゲームは、多少高くても買ってくれるはずという考え方です。薄利多売は望めないと思っていたんですね。あと単純に、開発費を少しでも回収したいという気持ちもありました。開発が長引いたことで懐が寂しくなり、不安も大きくなっていったんですよ。

が、蓋を開けると大きな勘違いがありました。僕のゲームは、ニッチじゃなかったんです。小さいお子さんから80代の御婦人まで、楽しそうに遊んでいるという報告を見てハッとしました。そう、デジゲー博であれだけ色んな層のお客さんが楽しんでくれてたのに、カンタン操作で誰でも遊べるようにしたのに、何故それを忘れてしまっていたのか。

僕が決めた価格は、コア層に向きすぎていたのかもしれません。自ら一般層と距離を取ってしまい、結果いちばん大事な初速を削ぐことになってしまったのではないか。もう少しお手頃な価格にしていれば、もっとみんなでスコアを競い合って盛り上がって、売上に繋がったかもしれない。なかなか埋まらないネットランキングを見つめながら、強気に見えた価格設定は、実は僕の弱気が生んだものなのかもしれないと考えていました(現在はちゃんと100位まで埋まってます)。

過去最大のセール中!

さて、いま開催している2024ウィンターセールでは、Steam版・Switch版ともに過去最大の割引率となる50%オフの630円(税込)でゲームを提供しています。本来ならこれくらいの価格が妥当なのかもしれません。面白さには自信があります、是非遊んでみてください。売上は先々月に産まれた娘のミルク代になります、どうぞ宜しくお願いします!

親バカで申し訳ないですがメッチャ可愛いんですよ

で、何で今さらこんな記事を書いたかというと、区切りをつけたかったんですね。リリースしてから時間が経っても、まだ何か足りないんじゃないか、何か起こるんじゃないかと未練のようなものを持ち続けていたんですが、流石にここらが潮時でしょう。初速を上回る売上が後に出ることは極めて稀とのこと、大人しく次へ進むのが正しいと思います。

あ、レビュー書いてもらえるのメッチャ嬉しいんですよ、今からでも遅くないですよ!

【和訳】巧妙にデザインされたシングルスクリーンのアーケードゲームで、ゲームプレイを複雑にすることなく、得点のための戦略によってコアなゲームプレイが充実している。追加モードも同様に楽しく、リプレイバリューも高い。残念なことに、Steamの情報データベースによると、このゲームはSteamで120~700人しか所有していない可能性があり、レビューもほとんど存在しない。Raindrop Sprintersはもっと評価されるべきゲームなのに。私はこのゲームを広めるため、鍋やフライパンを叩くつもりだ。

ross.irvingさんによるレビュー

【和訳・一部抜粋】このゲームを買うべきだとしか言いようがない。もしこれが30~40年前に大手パブリッシャーのもとで発売されていたら、多くの小銭を奪っていたと思う。1回のプレイ時間は30秒から5分程度だが、短いにもかかわらず何度もリピートしている。room_909が今後も素晴らしいゲームを作り続けられるよう、このゲームが軌道に乗ることを願っている!

Kermaさんによるレビュー

【和訳・一部抜粋】Raindrop Sprintersを3時間近くプレイした私の感想は、ここしばらくの間、アーケードにインスパイアされたゲームで最も楽しかったということだ。【中略】このとりとめのない話の最後に、私はこのゲームをすべてのアーケードファンに勧めたいし、ほとんどのカジュアルプレイヤーも気に入るだろうとまで言いたい。

Mr Scotsmanさんによるレビュー

【和訳】トップクラスのシングルスクリーン・スコア・チェイサー・アーケードゲーム。シンプルでキレのあるコントロールと、4つのゲームモードにわたるとんでもなく中毒性の高いゲームプレイのループ。クールなリスクとリターンのスコアメカニクス。かすりや集中などの弾幕要素。グローバルリーダーボードとTATEモード。これ以上何を望む!?このゲームは、良質で本格的なアーケード体験を求める人には簡単にお勧めできる。この開発者がこのようなものをもっと作ってくれることを切に願う!

vacantcodeさんによるレビュー

【和訳・一部抜粋】キュートで心地よいものと、クールで好奇心旺盛なものがうまく共存している。また、不思議なバッジや特別なイベントなど、ゲームの仕組みにもそれが反映されている。その結果、多くのレトロゲームがそうであるように、遊びながら想像したり実験したりするよう誘うことで、このゲームは気持ちを掴んでいるのだ。このような感覚をゲームで実現した宮澤さんへ、おめでとう。

DK Jr.さんによるレビュー

ただ、手応えは十二分にありました。熱狂的なファンを獲得し、熱のこもったレビューを受け取り、友人のクリエイターたちにも褒められ、生まれて初めてファンアートまでいただいちゃったんですよ。額に入れて飾ってますもん今も。僕のゲームは国内外のプレーヤーに突き刺さり、やめ時を見失うほど楽しんでもらうことが出来ました。ズブの素人のデビューとしては、申し分のない成果だったんじゃないでしょうか。Raindrop Sprintersを作って、ホントに良かったです。

Have a nice sprint

でもやっぱり、沢山の人に遊んでもらえなかったという点において、僕はゲームに対して申し訳無さを感じているんですよ。以前話していたんですが、自分で作った作品は、自分の子どものようなものなんです。もうちょっと上手く世に出せてやれたんじゃないかな、と。それだけが心残りです。

【追記】価格以外で良くなかった理由をもう2つ挙げてみましょう。1つ目は『タイトルの長さ』。Raindrop Sprintersって、内容はよく分かるんですけど口に出すと長いんですよね。略称も作りにくく、パッと伝えることが出来ない(話題にしづらい)のが弱点です。なので別途、『走る肉球』という名前も用意していました。

もう一つの理由は、『イベントからリリースまでの期間が長過ぎた』。2022年のデジゲー博が11月、ここで得た好評価を活かすのならば1~2ヶ月でゲームをリリースすべきでした。実際はSwitch版が翌2023年8月と9ヶ月後、Stema版は12月と1年1ヶ月もかかってしまいました。イベントは、完成間近になってから参加するのが良いのかもしれません。

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