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「赤字決算」に思う

今週月曜日(2月29日)、サイボウズは昨年度の決算について説明会を開催した。マイナビさんが「サイボウズ、創業以来初の"赤字" - 「ちゃんと赤字になった」と余裕の青野社長」というタイトルで記事にしたところ、予想以上に拡散され、はてブが200以上付き、コメントが何十個も付き、マイナビニュース全体で嵐やAKBの記事に並んで人気記事になった。

サイボウズは売上が100億にも満たない規模であり、赤字の金額も知れている。社会的に注目される理由は、そこにはない。「狙って赤字を出し、ドヤ顔している上場企業の社長」というのが珍しいのだと思う。

当事者として、赤字にした背景を説明したい。

1. 会計基準と実態は違う

サイボウズは今、既存のパッケージソフト販売からクラウドサービスに事業をシフトしつつある。パッケージソフトは売れたその月にドカンと売上が上がるが、クラウドサービスは受注した翌月から徐々にお金をいただく。お金の流れが大きく違う。今回、赤字になったのは、「現行の会計基準に沿って計算すると利益はマイナス」ということ。実際にはkintoneをはじめクラウドサービスの販売は伸びており、今後長期に渡って料金をいただき続けることを考慮すれば、むしろ好調だと言えるかもしれない。会計基準は所詮誰かが決めた一律のルールだ。実態とは乖離する。私は実態に合わせて経営したい。

2. 赤字は悪じゃない

赤字は悪いことだと思ってないだろうか。私も以前、そう思っていた。しかし、そうとも言い切れない。現行の会計基準では、従業員の給与は利益に対してマイナスだ。給与を減らせば利益が増える。給与を増やせば利益が減る。どちらがいい会社だろうか。また、売上は顧客からかき集めた金の総額であり、利益は従業員やパートナーに還元せずに残った残金である。売上と利益が多い会社がいい会社、と信じ込むのは盲目的だ。やはり、実態を見ながら経営したい。

3. 短期と長期

赤字というのは1年という単位で区切ったときの数字に過ぎない。サイボウズは創業から18年間ずっと黒字だったから、今までの利益を合計すれば、まだずいぶん黒字である。サイボウズは「チームワークあふれる社会を創る」ことを理念として掲げている。これは10年や20年で成し遂げられることではない。単年度で赤字だったからといって、10年単位で考えるサイボウズにとっては「だから何?」なのだ。理念に沿って経営をしたい。

事業をする上で、誰もが当たり前だと思っていることでも、本質を突き詰めれば怪しいものが多い。私なりに気付いたことを「チームのことだけ、考えた。」にまとめたので、機会があればぜひお読みくださいませ。

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