【レポート】Web担当者Forumミーティング 2024 秋

AI活用で生産性3倍! こんなに使えたら本当にすごい! 目からウロコの使い方|デジハリ教授が解説

生成AIで仕事の幅を広げるヒントが満載! 文章・図解作成から映像プレゼンまで、最新ツールを駆使して生産性を3倍にする方法とは?

デジタルハリウッド大学教授の橋本大也氏は、2024年に3冊の書籍を上梓した。1年に3冊はかなりのハイペースだが、それを可能にしたのは生成AIによるサポートだと語る。「Web担当者Forum ミーティング 2024 秋」のセッションでは、生成AIの現状や人気のAIエンジンの特性などを、使い方の実例と共に紹介した。

デジタルハリウッド大学教授 橋本 大也 氏

 ブレーンストーミングの前にAIストーミング

生成AIが広く一般に知られるようになったきっかけがChatGPTであるため、生成AIはチャットツールだという印象が強い。しかし、生成AIは「ただのチャットではなく、新しい思考ツール」だと橋本氏は言う。事務的な仕事、分析的な仕事、創造的な仕事の3つの分野で、PCやインターネット、スマートフォン以上のインパクトをビジネスにもたらす。

まず、生成AIでどのようなことができるのか、ChatGPT自身に生成AIの活用法について答えさせてみた。手順としては、ChatGPTに以下の順序でプロンプトを入力した。

【matplotlibでハニカム構造を描画して】
解説:matplotlibは描画ライブラリの名前で、こう指定すると確実に描画してくれる。内容を図で表したいので、先に描画させた。

【作成した4行4列のハニカム構造の上に、ChatGPTの面白い活用法を発想し、ハニカム内に表示して。matplotlibとこの日本語フォントを使って】

解説:ChatGPTは日本語の表示があまり得意ではないので、フォントのデータを与えると成果の品質がよくなる。

その結果が以下の図だ。

ChatGPTの面白い活用法をハニカムブレスト

ここから、
【アイデアのフォントの色をカテゴリ(仕事、趣味、学習、生活)ごとに変更して】
【新しい発想を加えてアイデアの数を2倍にして】

と入力して、カテゴリごとに文字の色を変え、数を倍に増やした。さらに、
【それぞれのアイデアでどのような画期的な長所があるかを表にせよ】

と入力すると表にしてくれるので、その表と図をExcelにまとめたのが以下のファイル。書籍や講演のアイデア出しに使えそうだ。人間が1時間くらいかけてブレストして作ったようなアイデアとカテゴリ分けが、10分くらいでできる。

ChatGPT活用法の資料ができた

ChatGPTを使って、非常に効率よくアイデア出しができる(橋本氏)

実は、ChatGPTは図を描画するだけでなく、【アニメーションをMP4で作成して】と指示すれば、動くアニメーションも生成可能だ。また、PowerPointを作成させ、そのファイルをダウンロードすることもできる。少し図やイラストなどを追加すれば講演資料や営業資料に使える状態のものが、短時間で作れる。

さらにセッションでは、テキストの音声化AIや、その音声に合わせて画像を動かすAIを組み合わせて、橋本氏が話しているようなAI動画のデモも紹介された。

ChatGPTが書いた原稿を生成AIの音声と動画で読み上げ

使ったのは「D-iD Creative Reality Studio」という無料のサービスだ。写真の口元が動くだけなのでAIとわかるが、発音に近い口の形を再現している。また、言語を変換できるので、英語が苦手でも英語でスピーチできるという良さもある。

AIを考えるパートナーとして使う

橋本氏は『頭がいい人のChatGPT&Copilotの使い方』(かんき出版)という本を書いたが、最初のアイデアは以下のようなものだった。生成AIを使う場合も、最初のアイデアは人間の担当だ。

自分の本を書く以上、オリジナルのアイデアは自分で用意する必要がある(橋本氏)

オリジナルのアイデア

これをそのままChatGPTに入れて、【文章化して】と指示すると、以下のような文章が出てきた。

「文章化して」で生成

特に、太字になっている「プログラミングのコード生成、文章の執筆支援、データ分析など」という部分は、橋本氏の最初のアイデアには入っていなかった具体的な例だ。執筆者が筆を止めるのは、書く内容が思いつかない時だが、これを参考にすれば、それぞれの例について1〜2ページは書けそうだと橋本氏。

また、橋本氏のオリジナルのアイデアには、「能力がある人が使える」というニュアンスが含まれている。それをChatGPTでは、ポジティブな言い回しに変えてある(2段落目の太字部分)。一般向けの書籍では、ChatGPTが生成した表現の方が妥当だろう。このように、ChatGPTは、ネガポジ変換が得意であり、ポリティカルコレクトネスに配慮した文章に直すようなこともしてくれる。

生成AIは、アイデアを発展させる、考えるパートナーとしての使い方をすると、生産性に直結する(橋本氏)

ここで、ChatGPT以外のエンジンについても紹介する。「Claude(クロード)」という生成AIは、ChatGPTよりも創造的な生成が得意で、日本語能力が高い。橋本氏が思考法の本を書いている時に、情報処理のワークフローについて、「情報の収集、整理、分析、その次は何だろう」と発想に詰まった。発信か、活用か、何かもっといい言葉はないだろうか。

そこで、Claudeにこの流れを入力し【候補を20個並べて】と指示した。

Claudeに流れに沿った言葉を教えてもらう

さらに、その20個を表にまとめ、クラスタリング(グループ分け)してマインドマップに表示してみた。

マインドマップの作成

この図を見ていると、さらに何ページか書けそうだ。

無難な文が必要なら任せてもよい

以下の図では、橋本氏の著書『頭がいい人のChatGPT & Copolotの使い方』の目次をChatGPTに入力して、あとがきを書かせている。

目次からあとがきを生成

出てきたのが、以下の文章だ。

ChatGPTが書いたあとがき

目次を入れただけで、実にあとがきっぽい文章を書いてきたので、橋本氏は書籍にそのまま「あとがき」として掲載したという。ただし、見開き対向ページに「『あとがき』はChatGPTが書いてくれた」と言及し、自身が書いたあとがきも記載している。

あとがきや謝辞、結婚式のスピーチなど、フォーマルな、無難にまとめる文章は、生成AIが得意とするところだ。お決まりの文章でいいなら、生成AIに任せるのも手だろう。友人との出会いから最近のできごと、友人の彼女の印象などを箇条書きして【結婚式のスピーチを書いて】と指示すれば、まあまあのスピーチ、少なくともその叩き台は書いてくれる。

生成AIは、すごく感動させるようなスピーチは書けないけれど、無難にこなすのはとても得意(橋本氏)

GoogleのAI「Gemini」

ここまでChatGPTとClaudeを紹介したが、AIブームを作ったのはGoogleのアルファ碁であり、Googleも努力を重ねている。チャットタイプの生成AIはGeminiで、つい先日モバイル版がリリースされた。

Geminiの特徴は、Googleの他サービスと密に連動している点だ。たとえば、【虎の門ヒルズに近いおいしいラーメン店をリコメンドして】と依頼すれば、店の情報と共にGoogleマップまで出る。

GeminiはGoogleマップと直結

また、Google検索とも連動していて、生成した文章が正しいかどうかのファクトチェックをしてくれる。

Google検索でファクトチェック

生成した文の最後にある「G」のアイコンがファクトチェックボタンで、クリックするとその文に合致する内容がWeb上にあるかGoogle検索で確認する。合致したら緑色で、確認できない場合はオレンジでマーキングする。どのページを参照したかのリンクも出る。図の例では、書籍について出版社の商品ページを参照してファクトチェックしているので、内容に間違いがないことは確実だ。

さらに、Gメールとも連動して、【○○さんとのメールを一覧、要約して】といった使い方ができる。久しぶりに一緒に仕事をするので、前回どうだったか思い出す場合などに便利そうだ。このようなパーソナルアシスタント機能があるのも、Geminiの魅力といえる。

生成AIで映像プレゼンを作る

最近の生成AIは、テキストや画像だけでなく、動画も生成してくれる。最後に紹介されたのは、未上場テック企業のトップ10を紹介する「世界のユニコーン トップ10」という映像プレゼンを作成する演習だ。

まず下準備として、調査会社から未上場巨大企業のリストを入手し、時価総額の上位10社を抽出する。次に、そのデータをテキストデータとしてChatGPTに読み込ませ、データ整理と表作成をさせる。

そこに、

【Webを調べて各企業の概要を追加して】
【各企業を紹介するキャッチコピーを作り「ポイント」として加えて】
【ネットを調べて解説をもっと長くして】
【この情報を元にしてPowerPointを作成して】

などの指示を与えていく。10社分、10枚のPowerPointができあがるので、以下のような指示で表紙の画像も作らせる。

ChatGPTで画像を生成

さらに、動画生成AIでオープニング動画を作る。「Dream Machine」は画像を入れると5秒ほどの動画を作成してくれるものだが、画像を2枚入れるとその間を補完する機能がある。また、「runway」は言葉を入れるとそれっぽい動画を生成する。さらにこの演習では、Claudeに【この情報を使って歌詞を書いて】と指示して、生成された歌詞を「SUNO」(歌詞に曲をつけて演奏してくれる)という音楽生成AIに入れた。

できあがった素材を組み合わせると、ちょっとしたプロモーションビデオのようなものができあがる。作詞や作曲のスキルがなくても、指示を与えるだけで、1時間ほどでできる。

ビジネスでは紙芝居形式のPowerPointが主流だが、今後は映像でのプレゼンテーションが増えるかもしれない(橋本氏)

ここで紹介したようなツールはいずれ統合されるかもしれないが、ともかく現在は、ChatGPTなどの有名どころ以外にもいろいろなものが出てきている。橋本氏は、「新しいツールをどんどん試して仕事の幅を広げていくと、仕事の効率が3倍になる」とまとめた。

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