米各地で「都市封鎖」抗議デモ 死者4万人突破も経済再開求め

A protester open carries an AR style black military type rifle during a demonstration against Indiana's stay home orders

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画像説明, 「今こそシャットダウンを終わらせろ!」と訴えるインディアナ州の住民

新型コロナウイルスの感染拡大防止のためのロックダウン(都市封鎖)が続くアメリカで19日、死者が4万人を突破した。こうした中、経済活動の再開を求めるデモが国内各地で相次いでいる。

週末にかけて、テキサス、イリノイ、フロリダ、テネシー、インディアナ、アリゾナ、コロラド、モンタナ、ワシントンなどの各州で、様々な規模の集会が開かれた。

経済活動の再開が早すぎれば、COVID-19(新型ウイルスによる感染症)が再び拡大する危険性があると、多くの専門家が懸念している。しかし、住民の間に、規制緩和を求める声は高まっている。

ドナルド・トランプ米大統領は、抗議が起きている州を「解放しろ」とツイートするなど、州政府に対する抗議行動を支持する姿勢をみせている。

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アメリカは今や、COVID-19危機の中心となっている。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、アメリカでは日本時間20日午前の時点で75万8700人以上が感染、4万600人以上が死亡している。

一方で、一部の州で新たな感染の増加ペースが鈍化するなど、アウトブレイク(大流行)のピーク到達の兆候が現れている。

各州で規制緩和にばらつき

複数の州知事は、感染拡大の伸びに鈍化が見られる状況で、経済再開にむけた議論を開始している。しかし、その他の地域では依然として、厳格なロックダウンが敷かれている。

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事は米国内で初めて、3月19日から国内で最も人口の多い同州を閉鎖。州全土に自宅待機命令を出した。

西海岸で隣接するワシントン州とオレゴン州も、カリフォルニア州に続き、3月23日から合わせて約1150万人に対し自宅待機を命じている。

ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は16日、同州は5月15日まで在宅命令を延長すると発表した。新型ウイルス対策に関する19日の定例会見では、住民に対し、「自宅待機によるストレス」や、州の経済再開を切望するなど、悩まされるかもしれないと注意を促した。

「我々にはまだ、この厄介なウイルスを制御できていると確かめる必要がある。(中略)我々は皆、くじけずに前向きに生き、前進したいと強く願っている」

クオモ氏は、「今は、この状況全体のハーフタイムにすぎない」と述べた。

トランプ大統領(共和党)は17日、ミネソタ、ミシガン、ヴァージニアの各州における規制は「厳しすぎる」と述べ、厳格なロックダウン措置に対抗するデモを支持する姿勢を見せた。

厳しい行動制限は、新型ウイルスの感染者数の上昇曲線を平らにし、医療機関がパンクしないようにするため、必要とされている。

Protests against stay home orders in Michigan

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画像説明, 自宅待機命令に反対するミシガン州のデモで、「我々は州知事こそ不要不急だとみなす」とのメッセージを掲げるデモ参加者

国民の気をそらすためのデモ支持と

ワシントン州のジェイ・インスリー知事は、トランプ大統領がデモ隊を支持するのは「危険」で、州法への「不服従」をけしかけているに等しいと主張した。

インスリー知事は19日、「アメリカの大統領が法律に違反するよう国民にけしかけるなど、生まれて初めて見た」と、米ABCに述べた。

米野党・民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長は、トランプ氏が国民の「気をそらす」ためにデモを支持していると非難した。

「大統領は、ウイルス検査や治療、接触者の追跡や隔離といった対策を、きちんと実施できなかった。その失態から国民の気をそらすために、デモを支持している」と、ペロシ氏はABCに述べた。

動画説明, 「働きたい」「美容院にも行けない」 米中西部で行動制限に抗議デモ

リバタリアン系団体による「グリッドロック作戦」(Operation Gridlock)と呼ばれるデモでは19日、コロラド州デンヴァーやアリゾナ州フィーニックスの州議会周辺に最大数百人が集まると予想されていた。

デンヴァーでは、社会的距離命令に反対するデモ参加者の車数十台が議事堂の周りを走った。また、約200人が議事堂の芝生の上に陣取り、メッセージや旗を振り回したと、地元メディアが報じた。

A protester holds a placard: "Give me liberty or give me Covid"

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画像説明, 「私に自由を、さもなければCOVIDを」というメッセージを掲げたデモ参加者。独立戦争の際の、「自由を、さもなくば死を」というスローガンをもじったもの(インディアナ州、18日)

18日には、デモ隊がメリーランド州アナポリスの路上を占拠し、車のクラクションを鳴らしてロックダウン措置に抗議した。インディアナ州では州知事の住居周辺に200人以上が集結したほか、テキサス州オースティンでは約200人がデモに参加した。

ユタ州、ワシントン州、ニューヨーク州でも18日にデモが行われた。

20日にも、引き続きデモが行われるとみられる。

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