ニュージーランド、新型ウイルス感染者ゼロに 国内制限を解除

Prime Minister Jacinda Ardern speaks to media during a post cabinet press conference at Parliament on June 08, 2020 in Wellington, New Zealand

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画像説明, 国内の感染者ゼロを喜ぶアーダーン首相(8日、ウェリントン)

ニュージーランドは9日午前零時(日本時間8日午後9時)、新型ウイルス関連の国内の行動制限をすべて解除した。政府は8日に、新型コロナウイルスの感染者が国内でいなくなったとして、解除を発表していた。

ニュージーランドは、4段階に分けていた警戒水準のうち、最も緩やかな「レベル1」に移行した。これによって、社会的距離の維持は不要となり、公の場での集会にも制限がなくなる。ただし、国境の閉鎖は続く。

8日の閣議後に記者会見したジャシンダ・アーダーン首相は、国内に新型ウイルスの感染者がいなくなったと報告を受けたとき、「少し踊ってしまった」と話した。

「前より安全で確かな状態にいるものの、まだCOVID-19以前の生活に簡単に戻れるわけではない。皆の健康を守るためにこれまで決然と集中して取り組んできたが、今後は経済再建に同じように取り組む」

「やるべき仕事が終わったわけではないものの、これは紛れもない節目です。なのでただひたすら、この言葉で結びます。ニュージーランド、ありがとう」

3月25日にロックダウン

ニュージーランドは3月25日にロックダウン(都市封鎖)を開始。最も厳しい「レベル4」の警戒水準に入ったため、ほとんどの事業所は休業し、学校は休校となり、住民は自宅で待機するようになった。

4月下旬には、一部の制限を緩和する「レベル3」に移り、学校は「受け入れ人数を制限」して再開されるようになった。事業は「顧客との物理的な接触」をしないことを条件に再開が認められた。個人の移動制限は続いたが、市中感染の人数が減り続けたため、5月半ばには「レベル2」へと緩和を進めた。

政府はこれまで、「レベル1」への緩和は6月22日に予定していた。地元メディアによると、新規感染者ゼロの状態が17日間続いたため、制限解除を前倒しした。

Daily Bread cafe and bakery in Pt Chev welcomes customers back inside while maintaining social distancing and hygiene measures on May 16, 2020 in Auckland, New Zealand

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画像説明, ニュージーランドには日常が(ほぼ)戻ってきた(写真は5月16日、オークランド)

「レベル1」の状態になると、学校や事業所はすべて再開され、結婚式や葬式の開催、公共交通機関の運行などは無条件で通常に戻る。

社会的距離の維持は必須ではなくなるものの、引き続き推奨される。

ただし、国外から入国するニュージーランド人は全員、14日間の自主隔離を義務づけられる。

アーダーン首相は、「確実にまた感染者は出る」と警告し、「ウイルスの排除はいつからと明確に区切れるものではない。継続的な努力が必要だ」と呼びかけた。

人口500万人未満のニュージーランドでは2月下旬以降、1154人の感染が確認された(感染が疑われる人を含めると、1504人になる)。そのうち22人がCOVID-19で死亡した。感染対策に特に成功した国のひとつだと、高く評価されている。