【解説】 眠れない……ロックダウン中の睡眠不足、対処法は?

マニッシュ・パンディーBBCニュースビート記者

Insomnia stock image of man sitting up in bed

画像提供, Getty Images

湯たんぽの準備は万端、かれこれ1時間はスマートフォンを見ていないし、ヒツジはもう600匹まで数えた……逆順に……それでもまだ眠れない。身に覚えは?

新型コロナウイルスによる感染症COVID-19対策で各国がロックダウン(都市封鎖)を行う中、ソーシャルメディアでは、さまざまな寝れない人たちの話と「can't sleep(眠れない)」というハッシュタグがトレンド入りしている。

ローラ・コッペルさん(26)もその1人だ。

BBCニュースビートの取材でコッペルさんは、「ロックダウンの前は、ぐっすりと熟睡できるタイプでした。でも今は正反対です」と話した。

同じように困っている人には、寝不足の解消方法をいくつか紹介する。

1. 生活リズムを守る

コッペルさんは、毎日の決まったルーティン(習慣)がなくなってしまったと話す。

「いつもなら早起きして、ジムに行き、仕事をして、またジムに行ってから寝るのが私の生活でした」

しかし、ロックダウンによって休業状態に入って以降、生活リズムは前のようにはいかなくなってしまった。

Laura selfie

画像提供, Laura Coppell

画像説明, コッペルさんは、新型ウイルス以前の生活リズムはがっちり固定していたという

英ラフバラー大学で長年、睡眠を研究しているケヴィン・モーガン教授によると、生活リズムは良い睡眠に最も大切な要素だという。

生活リズムがロックダウンで崩れてしまい、眠れなくなっている人がいるのは当然だとモーガン教授は言う。

「ルーティンは良い睡眠を守ってくれます。睡眠はルーティンに守られているんです」

その上で、もし最近になって生活リズムが変わってしまったとしても、良い睡眠を維持するためには以前からの就寝パターンを守るべきだと指摘した。

「どんな誘惑があっても、いつもの時間に起きて、いつもの時間に寝ること」

昼寝は? これについては、残念なお知らせがある。

「眠くなっても、寝るのは夜まで待ってください。眠いという状態を貴重な資源と考え、短い昼寝で無駄づかいしないようにしましょう」

2. 日光を浴びる

ロックダウンの間、これまで通り自由に外に出ることができなくなったのは、睡眠には良くない。

外出して目に日光を入れることで、私たちの体は睡眠パターンを制御するメラトニンというホルモンを生成する。

モーガン教授は、「それが唯一、私たちの体が明るさ暗さを感知する方法です」と話す。

屋内にとどまり続け、浴びる日光が不足すると、メラトニン量が減ってしまう。

Woman runs by cherry blossoms in Cardiff

画像提供, Getty Images

画像説明, イギリスではロックダウン中でも1日1回、運動のための外出が認められているが、その場合も他人と2メートルの距離を取るよう求められている

モーガン教授は、できるだけ外で日課の運動をすることが大事だと話した。

「そして晴れている時はサングラスをかけず、目に陽の光を入れるようにしてください。それが睡眠の質や気分を上げます」

もっと(うまくいけば)効果を上げるには? 毎日同じ時間に外に出ることで、毎日のルーティンに組み込むことができる。

3. 「ストレスを一時停止する」

こうした状況でストレスや不安を感じるのは当たり前のことだ。コッペルさんはロックダウン以降、不安やストレスのレベルが上がったと話す。

「先行きが分からないことが沢山あります。こんな状況にはなったことがない(中略)すぐに日常に戻るの? それともこれが新しい日常なの? 今のこのあいまいな状態が、ストレスや不安の原因になっています」

モーガン教授は、「家族のこと、健康のこと、仕事のこと、誰もが不安を抱えています。家にずっといる今の状態では、今の状況がいかに深刻か考えずにはいられない」と話した。

不安になること自体は問題ないが、その不安をベッドまで持ち込まないようにするべきだとモーガン教授は語る。

「今日できることはすべてやった、もうやることはないと自分に言い聞かせましょう。ぐっすり眠った次の日に、また取り組めばいいのです」

ストレスへの対処法が分からない時は、こちらの記事も参照してほしい。

4. 場所の取り方を考える

もし家で働いていて、その場所を選べる環境にあるなら、寝室は避けたほうがいい。そこは寝る場所として、脳に認識させておくべきなので。

「さあ本当に寝るぞという時まで、ベッドの近くに行ったり、ベッドに座ったり横たわったりしないように」とモーガン教授は指摘する。

それが難しい場合は、ベッドの外見を変えるのもひとつの手段だという。

「ベッドの上にカバーをかけて見た目を変えましょう。実際に眠るときだけ、ベッドに見えるように。そうすれば、ベッドは眠るためだけのものと、結び付けておくことができます」

「究極的には、脳をだまして、生活はいつも通りなんだと思い込ませることが大事です」

5. アルコールは……

自宅にいることが多いと、映画やテレビを見る時間も増えているだろう。そうすると、ついお酒を飲みたくなるかもしれない。しかしモーガン教授は、それでその時は眠りにつきやすくなったとしても、長期的には良くないことだと懸念する。

「アルコールは究極的には、睡眠の構成や質といったものにダメージを与えます」

モーガン博士によると、お酒を飲むなら「普段飲んでいた時間に、普段と同じ量を飲む」ようにするのが良いそうだ。

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