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フィンランド社会保険庁事務所(Kela)が2年間のベーシックインカム(以下BI)試験導入を開始して、4カ月が経過した。BIは、生存しているだけで現金を受給できる富の再分配システム。対象となった2000人の受給者の中には、既にストレスの軽減を報告している人たちもいる。
「受給者が毎月受け取る600ドル(約6万8000円)は金額的に多くないかもしれないが、人々の不安を和らげるには十分な額です」
Kelaの法定給付庁の代表マルユッカ・トゥルネン(Marjukka Turunen)氏は、米メディアKera Newsに語る。
「過去にこう語った女性がいました。『電話が鳴ると、いつも怖い思いをしました。職業安定所が仕事を紹介しようとかけてきたのではないかと』」
トゥルネン氏によると、この女性は両親の介護のため働くことができなかったという。
BIは現在最も注目を集める貧困解決策である。このシステムは貧しい人たちが最も必要とするもの、つまり現金を提供できるとBI擁護派は主張する。それにより雨漏りする屋根を修理したり、通勤用の車を購入したり、緊急時の蓄えとすることもできる。生活していくには十分でないが、セイフティガードにはなりうる。
BI擁護派でライターのスコット・サンテンス(Scott Santens)氏は、その金銭的保障にはさらなる利点があると述べる。 サンテンス氏はここ数年間、クラウドファンディングサイト「Patreon」からBIを受給している。
「BIは中間層に経済力を再分配できる。それはすなわち、不本意な職につく必要がないという意味です。また、BIにより"信用"も促進できます」
サンテンス氏は「BIは誰もが最低限の信用を得られるべきという考えの反映です。貨幣によって信用の度合いを測り、それを流通させる現在の制度は、貨幣なくしては成り立たないからです」 同氏は、スーパーマーケットに有り余るほどの食料があるにもかかわらず、空腹に苦しむ何百万もの人たちが食べることのできない現状を例にあげ、そう述べた。
「誰もが、生存するための基本的なニーズを満たせる程度の信用を与えられるべきです」
フィンランドのプログラムは、ベーシックインカムの修正版と言える。というのも、BI擁護派の多くは現金を無条件で支給すべきと主張しているが、今回の実験では、2016年の応募段階で失業しているフィンランド国民のみが対象となったからだ。
しかし、試験開始後に受給者が仕事を見つけた場合でも、引き続き毎月600ドルの受給が可能になっている。
Kelaは今回の試験の効果に関する公式なデータは2018年まで公開しない、とトゥルネン氏は強調する。
「報道機関の取材に応じた人の意見は、受給者全体の意見を示すものではありません。試験結果は、来年末のデータに基づき、慎重に分析されるべきです」 同氏はベーシックインカム研究機関のBasic Income Earth Networkにそう伝えた。
トゥルネン氏はこの実験へ大きな期待を寄せている。ケニアや他の地域の実験では、BIが小さい規模では機能することが示唆されている。だが、同氏によると長期的なデータはまだ存在しない。
「家のソファで寝転がっている人もいるでしょう。もちろん、仕事に行く人もいるでしょうね。どういう結果になるかはまだ分かりません」
少なくとも、ソファで寝転がっているフィンランド人は以前よりリラックスしていることだろう。
[原文:Finland's basic income experiment is already lowering stress levels — and it's only 4 months old]
(翻訳:Keitaro Imoto)