Parrot社が11月下旬に発売した世界最先端のヘッドフォン「Parrot Zik 2.0」。初代「Parrot Zik」からあらゆる点が強化されたんですが、何が素晴らしいって、今まで聴いてた音楽が何度でも美味しく楽しめるところ。しかも、新しい音楽にもどんどん触手を伸ばしたくなるところがすごくイイ!
ただ音質がいいとか高性能なだけじゃなく、音楽をもっともっと好きにさせてくれるヘッドフォン。そういうプロダクトって、実はそんなに多くないんじゃないでしょうか?
アプリと連携して自分の好きなリスニング環境がつくれる
Parrot Zikシリーズは、専用アプリ(現在はiOS/Android)でノイズキャンセリングやEQ、空間サイズなどを自分好みに指定できます。
まずはノイズキャンセリング機能。Parrot Zik 2.0では6つのマイクが周囲の騒音を計測して逆位相の音波を発生することで騒音を98%カットし、音楽に集中できる環境を作ってくれます。
どのくらい静かなのかというと、道を歩いているときに後ろから人に追い越される直前まで気配を感じないレベル。もしあれがヒットマンなら確実に殺られてますな…(ゴクリ)。
やや身の危険を感じつつ「歩いているときはノイズキャンセリングをOFFにしたほうがいいのかなぁ」とアプリを開いてみると… あれ? なんかオレンジの円がありますよ。
さわってみると、円の大きさを変えることでノイズキャンセリングのレベルを好きなように調整できることが判明。これはParrot Zik 2.0の新機能でした。なんという細やかな心遣い…! これならヒットマンに殺られることもないし、オフィスで上司や同僚に呼ばれたときにも即反応できますね。
また、「ストリートモード」なら雑踏の中でノイズキャンセリングしながら相手や自分の声がクリアに聴こえるので、ヘッドフォンかけたままスマホにかかってきた電話を受けるときはとくに便利でした。オフィスでもこっちを使うといいのかも。
ちなみに、Parrot Zik 2.0はヘッドフォンをはずすと自動的に一時停止に、頭にかけ直すとふたたび再生してくれます。だから人から呼ばれたときにヘッドフォンを止める作業で相手を待たせたり、あるいは音楽を止め忘れて良いところを聴き逃がすといったこともありませんよ。
イコライザー(EQ)設定がオンラインで共有できる
Parrot Zik 2.0のアプリには、初代と同じくイコライザー設定機能があります。でも、イコライザーって何Hzをどのくらいのバランスにしたら自分にとって気持ちいい音が出せるかなんて、慣れるまでは正直よく分からないじゃないですか。
そんなときには、大まかなジャンルをめやすに気持ちいいポイントを直感的に探せるドーナツ型のイコライザーを使ってみましょう。
しかし、ここで満足してはいけません。Parrot Zik 2.0のイコライザー機能はここから先が快楽の始まり。もうね、あまりにも楽しくて全然抜けられません。毎日ずーっといじってても飽きないくらい。さあ、みなさん音楽ジャンキー天国へようこそ!
さて、Parrot Zik 2.0にはイコライザー(EQ)設定をユーザ同士が「チューン基準」として共有できる機能があります。汎用的なチューン基準から特定のアーティストに特化したチューン基準まで色々あるんですが、これがなかなかに面白い。
ドンピシャで好みがハマるものもあれば「この曲をこのプリセットで聴くと味わいが違って面白いな」とか「こういう聴き方が好きな人もいるんだな」なーんて新しい発見もあったりで。みんなの「気持ちいい」を通して、手持ちの音源をあらためて掘り起こせるのがめちゃくちゃ楽しい!
こういう違いが心地よく楽しめるのは、間違いなくヘッドフォン自体の音質がいいから。設定の中身も見れるので、気に入ったものをベースに自分で編集して設定保存できるのもステキです。
有名ミュージシャンがヘッドフォンのEQを設定してくれる
先ほどの画像を見て気づいた方もいらっしゃるかと思いますが、Parrot Zik 2.0では一般ユーザーだけではなく憧れのアーティストたちがチューン基準を「プレミアム」カテゴリで無料提供してくれています。
たとえば、ユーロヴィジョン・ソング・コンテスト 2014で優勝したコンチータ・ヴルストは、自身の曲「Rise like a Phoenix」専用のプリセットを公開。「本来の音」が確実にリスナーに届くかたちになっています。
また、DJ Jazzy Jeffがヒップホップやダブステップの設定を公開していたり、エレクトロニカのRichard Dorfmeister(Tosca)が雰囲気に応じたEQ設定を公開していたりと、なんかもう至れりつくせりで…。アーティスト自らが私のヘッドフォンのEQを設定してくれるとかどんだけ贅沢!!!
音源の特徴も関係しているとは思いますが、けっこう人によって設定に個性が出ますね。以下はジャンルや雰囲気にあわせたEQ設定の例です。
●DJ Jazzy Jeffの場合個人的には、まさかRichardのダブDJセットをRichard本人のイコライザー設定で聴く日がくるとは思いませんでしたよ。こうやって曲ごとに最強のイコライジングが楽しめるのが普通になっていくんでしょうか。21世紀おそろしいわー!
ヘッドフォンに44,900円ってはじめはちょっと高いと思ったけど、今なら断言できます。
こ れ 安 い 。ちなみに、自分が聴いている曲に対してアプリが最適なイコライザー設定を自動的に切り替えてくれる「スマートオーディオチューン」というモードもあります。私のヘッドフォンにPAさんがついてるような感覚ですね。
音響空間の雰囲気も自分好みにカスタマイズ
これは初代Parrot Zikからの特長ではあるんですが、空間の広がり具合や音が鳴る角度も自分の好みに変えられるのがZikシリーズの素晴らしいところ。お気に入りのアーティストの曲を静かな部屋でじっくり聴ききたい、ジャズクラブみたいな場所で聴きたい、と自分の気分にあわせて決められます。
ゆえに、パソコンに向かって作業しててもまるでライブ会場にいるような体験ができます。私はSoundCloudなんかで公開されているLive音源をもとに「このくらいのサイズの箱でやったのかなー」とか「これを大きい会場で聴いたら絶対気持ちいいだろうなー」なんて考えながらモードを選んでいます。毎日出社しながら、気分は平日5 Daysフェス!
スピーカーの角度は30度ごとに決められますよ。
Bluetoothとタッチパネルの組み合わせも機能的
私は通勤中にiPhoneでテザリングしながらノートパソコンで作業することがよくあるんですが、そのときにBGMとしてSoundCloudやポッドキャストなどで新着の音源を聴きながらお気に入りをストックしていきます。
でも、音量を調整したり次の曲を頭出しするたびにiPhoneを取り出したりリモコン使ったりするのは、けっこう面倒だなーと思ってたんですよね。そこへいくと、Parrot Zik 2.0は右ヘッドフォンのイヤーカップ表面にあるタッチパネルで操作できるのが地味に便利です。
タッチパネルって「新しもの好きホイホイ」な機能なんじゃないかと思い込んでたんですが、ものすごく実用的だったのが意外でした。ヘッドフォンをさわるだけで「PCから目線をはずす」ことなくちょっとした操作ができるので、集中力が途切れない。めちゃくちゃ作業効率が上がります。
操作は、指を垂直方向に動かすことで音量調整が、水平にフリックすることで前後の曲へのスキップが、タップすることで一時停止ができます。
電車の中で快適に使えるもう一つの理由としては、Bluetooth接続でケーブルレスな環境にできるから作業スペースがシンプルになること。駅に着いたときケーブルの処理を気にせずさくっと電車を降りられるので、とてもスマートです。そして降りる直前まで時間を余すところなく作業できます。「やりきった感」が凄い。
美しい曲面が特徴的なスタルク氏のミニマル・デザイン
デザインのことは冒頭にもってくるべきかとも思ったんですが、「音を楽しむ」ことにかけてあまりにも素晴らしいプロダクトなので、あえて最後にもってきました。
Parrot Zik 2.0は前モデルに続きフランスの著名プロダクトデザイナー、フィリップ・スタルク氏によるデザインです。美しくシンプルな見た目とかけ心地のよさが連動しているので、ヘッドフォンのゴツさはあまり感じません。
前モデルよりと比較するとデザインのエッジが緩やかなので、似合う服装を選ばないところもポイント高い。これだけ音が楽しめるので、いつでもヘッドフォンかけてたいじゃないですか。そういうときに「服装を選ばないデザイン」ってすごく大事だなーと。
カラーバリエーションもシックなものからポップなものまであるので、視覚的にも自分の「気持ちいい」を大切にできます。
ちょこっと要望
Parrot Zik 2.0を使うようになってから本当に毎日が楽しすぎて、悪い点があまり見つからないのですが、しいていえば…ということで要望を3点。
まず、冒頭のドーナツ型簡易イコライザーと、自分で一からイコライザー設定を作るプロデューサーモードが今は完全に分かれているんですが、これがシームレスに連携できると嬉しいです。
一から組むには知識が足りない人でも、簡易イコライザーでだいたい気持ちいいポイントを探してからプロデューサーモードで微調整できれば、自分のオリジナルプリセットがもっと作りやすくなるんじゃないかと感じました。
もう一つは、プレミアムカテゴリでチューン基準を提供しているチューナー(作者)のアーティスト曲をその場で試聴したいという点。
普段聴かないジャンルのアーティストは誰だかよく分からないし、その設定で手持ちの音源を聴いてもその素晴らしさが伝わりきらない。そこで、提供されたチューン基準でそのアーティストの曲がすぐに聴ければ、その人自身や新しいジャンルが好きになれる確率が格段に上がるのではないかと感じました。
同じように、一般ユーザーが公開しているアーティスト特化型のチューン基準についても、そのアーティストの音源がオンライン上にあればその場で試聴できるとさらに楽しみが広がりそうです。
最後にすごい細かい点で恐縮なんですが、自分で作ったチューン基準の情報(アーティスト名やアルバム、ジャンル)を再生中の曲から自動で取得するだけでなく、手動でも編集できると嬉しいです!
まとめ
はっきり言ってお買い得です。デザインやスペック、機能の良さだけにフォーカスして満足することなく、Parrot Zik 2.0は音楽体験の枠組みそのものを変えてくれますよ。
source: Parrot Zik 2.0、アップルストア
(Rumi)