ゲームは単なる娯楽という1ジャンルを超えて、今や私たちの生活全般に広がりつつある。このコラムでは、ソーシャルゲームや携帯電話のゲームアプリなど、すそ野が広がりつつあるゲームコンテンツのビジネスモデルについて、学術的な背景をもとに解説していく。
2010年12月、動画コミュニティサイトのニコニコ動画が、ソーシャルアプリのプラットフォーム“ニコニコアプリ”を始めた。ニコニコアプリの特徴は、動画を見ながら同時にゲームをプレイする、マルチタスクなプレイスタイルにある。生放送の待ち時間にゲームをするといった、隙間時間を利用したゲームプレイが可能だ。
「娯楽ビジネスはユーザーの余暇時間をめぐる競争だ」と言われるようになって久しい。時間競争となると、競合相手は同ジャンルにとどまらない。テレビ・PC・携帯・雑誌書籍・ゲーム機といった各種メディアが競合し、その上で展開されるあらゆるコンテンツがユーザーの余暇時間をめぐって競争する。なかでも隙間時間の開拓をリードするのは、通勤・通学中に利用できる携帯コンテンツである。
最近、ソーシャルゲームの広告においても、「ちょっとした空き時間でプレイできる」という趣旨の広告文句がよく見られるが、日常の中の数分というわずかな時間をめぐる競争がますます激しくなっているようだ。
大辞林第二版(三省堂)によると、暇つぶしとは「空いた時間を適当な方法ですごすこと。また、そのような物事」、あるいは「無駄に時間を費やすこと」をいう。
しかし、筆者は自身のゲームプレイ経験から「果たして暇つぶしとは時間概念なのか」と疑問を持つようになった。オンラインゲームをしていると、フレンドから「いま、暇〜」というチャットがよく飛んでくる。ゲームをしている最中にもかかわらず、それでも“暇”だというのだ。ユーザーの感じる“暇”とは何なのか。それは、本当に何もしない空いた時間を指すのだろうか。「空いた時間でプレイできる」という企業のCM文句とユーザーのプレイスタイルとに、ギャップを感じ始めた。
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