暖房の効いたオフィスにいると、昼を回ったあたりから頭がぼんやり、眠気が襲ってきます。そんなときは「コーヒーに頼らず、オフィスの周囲を10分ほど歩いてみる」といいようです。
コンテンツマーケッターであり、米ビジネス系メディア『99U』などへの寄稿も多数ある Herbert Lui 氏。彼が Medium に記していた「散歩のすすめ」の内容を紹介します。私は毎日、午後3時ごろになると、頭が疲れてぼんやりしてきます。それを何とかしようと、いろいろな方法を試してきました。コーヒーを飲んだり(特に、マクドナルドでコーヒーのSサイズが無料になった時は)、冷たい水で顔を洗ったり、ネットサーフィンをしたり、おやつを口にしてみたり。その中でもっとも効果的だったのが、散歩です。
散歩といっても、長くて10分くらい、オフィスの周辺を1周するだけです。町では、いろいろな人や光景を目にします。夏はエアコン、冬は暖房が効いたホテルのロビー。近くの美術大学へ通う学生たち。立ち並ぶショップの店員。遅い昼食を取る人々。建設中のビルとそこで働く作業員たち。友人にばったりと出くわしたこともありました。
いまは、散歩に出るのが毎日の楽しみとなっています。つい最近、気温が氷点下30度まで下がる日がありましたが、そんな日でさえ、たくさん着こんで外に出て、有名なトロントの地下街へと向かいました。
別に、仕事がイヤで逃げ出したいからではありません。頭がぼんやりして、効率が落ちるからです。散歩に出ない日は、脳が最大限の力を発揮できないので、会社やクライアントに対して申し訳ない気持ちになるほどなのです。先日、ニール・ガブラー氏の著書『創造の狂気 ウォルト・ディズニー』を読みました。ディズニー氏はある時、エンターテインメントの仕事にほとほと嫌気がさしてしまったそうです。そして、仕事の問題は山積していましたが、兄や従業員に半ば強制されるかたちで休暇を取りました。
ウォルトによると、「どうにでもなれ」という投げやりな心境に達したおかげで、彼も妻のリリアンも「最高に楽しいひと時」を過ごしたそうだ。そうして彼は、完璧主義という重荷から自らを解放した。
ディズニー氏の仕事は、「物語を紡ぐこと」と「会社の経営」でした。つまり、絶えず頭を切り替える必要があったのです。彼には完璧主義的なところがありましたが、しばらくの間、当てもなくぶらぶらしている状態がよかったのか、仕事を頭から追い出すことができました。そうして、前進し続けるパワーを手にしました。
仕事の日は、さまざまな出会いややりとりにあふれており、私たちは、完璧にこなさなければいけないというプレッシャーや緊張、不安を感じています。そういった精神的負担に対処する上で、わずか10分間だけでも、新鮮な空気を吸ったりいつもと違う風景を楽しんだりできる散歩は非常に効果的なのです。
心を空っぽにする
時々、会社という名のオリに閉じ込められてしまったような気がしませんか。オフィスを小さな都市だと考えてみてください。一歩オフィスの外に出ればのどかな田園風景...というわけにはいきませんが、ひっきりなしに届くメールやインスタントメッセージから解放された気分になれるかもしれません。また、目的もなくぶらついて、オフィスとは違った風景や香り、音を楽しむ新鮮なひと時を手に入れるチャンスでもあります。
私たちは、注意を向けていなくとも、思った以上に周囲の環境を見て記憶しているようです(リンク先は英文記事。イギリスの有名な「メンタル・マジックを専門とするマジシャン」であるダレン・ブラウン氏が、サブリミナル効果について実証を試みた動画をぜひご覧ください)。当てもなくぶらつくだけで、創造性が刺激され、思いもよらない発想が生まれるかもしれません。
私個人にとっては、散歩が絶好の気分転換ですが、腕立て伏せがいいという人もいますし、昼間にジムで汗を流すのがベストだという人などもいます。ばかげて聞こえるかもしれませんが、そういった、ちょっとした息抜きや気分転換で、本当に気分が晴れ晴れします。認知能力がパワーアップするのです。
最後に
自分に合った息抜き法が見つからない方は、とりあえず1週間、散歩を試してみてはいかがでしょう。午後3時くらいに頭がぼんやりしてきたら、コーヒーに頼らず、オフィスの周囲を10分ほど歩いてみるのです(もっと長くても構いません)。何よりも、意識的にリフレッシュを心がけることが大切です。毎日ほんの少しだけ、目的を持たず、静かなひと時を持ってみませんか。
Why You Should Seek Quiet Every Day|Medium
Herbert Lui(原文/訳:遠藤康子、吉武稔夫/ガリレオ)