人になにかを頼まれたとき、「本当は断りたいのになかなか断れない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

つい他人を優先してしまうお人好しさんのためのじょうずな断り方』(時田ひさ子 著、PHP研究所)の著者も、“お人好しさん”は相手の立場を意識しすぎるあまり、自分をないがしろにしてしまいがちだと指摘しています。

しかし、そこには見逃すべきではないポイントもあるようです。

実は、これまであなたが断るのを苦手だと思っていた理由は、あなたが優しすぎるからではなく、「じょうずな断り方」を知らなかったからです。

ここで言う「じょうずな断り方」とは、誰も傷つけず、印象も悪くせずに、自分に正直になれる断り方のことです。(「まえがき」より)

「じょうずな断り方」を知ると、やりたくないことや気が向かないことを断れるようになり、自分の望みを叶えられるようにもなるのだとか。それは、自分の生き方を優先した生き方ができるようになるということだとも解釈できそうです。

何かを断ったからと言って、あなたの優しさがなくなるわけではありません。

相手の細かい変化や気持ちに気がつける、あなたにしかできない断り方があります。優しいあなたにしかハマらない断り方。

それは、誰も傷つけずに断る断り方です。(「まえがき」より)

そこで本書において著者は、自分らしさを活かしながら無理なく伝えるためのコツを紹介しているわけです。きょうはそのなかから、第1章「職場の人へのじょうずな断り方」に焦点を当ててみたいと思います。

上司からの依頼を断る

自分の仕事で手一杯なのに、新しい仕事を追加で頼まれた!(54ページより)

こっちの仕事もやってもらえますか?

1. 肯定

あ、はい。これですね。

2. 現状・事実

今急ぎでこの案件を進めていて、資料を△△商事さんに、水曜日の12時までにお送りすると約束してしまっているんです。

3. 譲歩

なので、この案件が大体終わる、木曜日の朝から取りかかるようにするかたちでもいいですか?(54ページより)

[いい人ポイント]断るだけでなく、相手に納得してもらえる理由も添えよう!(54ページより)

自分の忙しさや大変さを相手に伝えて断る場合は、話し方も重要だそう。目線はスケジュールを追うなどしながら、声のトーンは少し低めに、同時に、やさしい声と表情で話すのがいいそうです。

そうすることで、「引き受けたいのはやまやまですが、いまはできないんです」という純粋な気持ちが伝わりやすくなるということ。

他人の気持ちや状況を優先しすぎて、自分の現状や意見を伝えられずに仕事を抱え込むことが多い人には、ぜひともこうした自分を優先するための断りをしてほしいと思います。

それに、仕事の場ではこうやって、自分の状況を理解してちゃんと断って、仕事量を調整できる人のほうが「仕事ができる」と評価されやすくなります。(55ページより)

単にやさしければいいわけではなく、自分の状況などをしっかり伝えてこそ、関係も良好になっていくのでしょう。(54ページより)

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同期からの依頼を断る

今日は忙しいのに、仕事中に同期から雑談をされる!(56ページより)

ねえねえ、この間のさぁ、あのドラマ見た?

1. 肯定

ああ、うん。

2. 現状・事実

ああ、あれね。うん、見たよ〜見た見た。

3. 譲歩

ごめん! なんか今の私の返事、テキトーみたいだったよね?

そんなつもりはなかったの!(56ページより)

[いい人ポイント]自分から直接的に伝えて断るのではなく、相手に察してもらえるように伝えよう!(56ページより)

このようなシチュエーションの場合、相手が「あ、いまは話しかけないでおいたほうがよさそうだな」と気づくような方向へと自然に持っていくのがいいそうです。

目ではチラチラと自分の仕事を見つつ、「話は聞いていますよ」ということを示すために目を動かしながら、曖昧な返事をする。そして、曖昧な返事をしてしまったことを謝るというやり方です。そうすれば、会話をやめてもらえる流れをつくれるというのです。

それに、はっきりと「やめましょう。今仕事中ですよ」と伝えて会話を断ると、角が立ちますし、話しかけてくれた相手が気分を害してしまう可能性が高いです。(57ページより)

もちろん、仕事中に雑談をするのはほめられたことではないでしょう。しかし協力し合いながら気分よく仕事をするためには、相手との適度な親和性も重要だということです。(54ページより)


たしかに、断ることは勇気を必要とするかもしれません。けれど、自分らしさを伝えることができ、結果として相手との関係を良好にしてくれる断り方もあるはず。本書を通じ、その方法を探し出してみてはいかがでしょうか。

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Source: PHP研究所

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