最新記事
ウクライナ戦争

祝賀ムードのロシアも、トランプに「見捨てられた」ウクライナと変わらない

2025年2月17日(月)18時20分
アレクセイ・コバリョフ(ジャーナリスト)
トランプ プーチン

トランプは就任早々、プーチンの利害に沿った発言を繰り返しているが…… AP/AFLO

<停戦は実現するのか? トランプ政権はヨーロッパとの同盟関係を骨抜きにし、交渉が始まる前からプーチンに大きな譲歩をしている。それでも、交渉で終わらせるには大きな障害が残っている>

いまモスクワは、クリスマスと復活祭と新年が一緒にやって来たかのようなお祭りムードになっている。

2月12日、トランプ米大統領はロシアのプーチン大統領と電話会談を終えた後、ウクライナの未来に関する米ロ交渉を直ちに始めると表明。米ロ交渉は、前提条件なしに、ほかの国を参加させずに行うとされている。ヘグセス米国防長官も、ウクライナのNATO加盟に否定的な見解を示し、ウクライナが2014年のロシアによるクリミア併合以前の国境線を回復することも現実的ではないと述べた。


ウクライナが友好国から見捨てられたように見え始めたのだ。ヨーロッパがすっかり腰砕けになる一方、アメリカのトランプ新政権はヨーロッパとの同盟関係を骨抜きにし、まだ交渉が始まる前からロシアに大きな譲歩をしている。

プーチン周辺が最もほくそ笑んでいるのは、トランプがウクライナやヨーロッパ諸国抜きで交渉を進める意向を示していることだ。プーチン支持派の軍事ジャーナリストであるアレクサンドル・コチも、ウクライナの運命を「2人の男が決定」し、ヨーロッパに「バックコーラス」程度の役割しか与えられないことを歓迎している。

もっとも、ロシア国内の祝賀ムードの陰に隠れているが、戦争を交渉で終わらせるには大きな障害が残っている。

キャリア
企業も働き手も幸せに...「期待以上のマッチング」を実現し続ける転職エージェントがしていること
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必…
  • 9
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中

pFad - Phonifier reborn

Pfad - The Proxy pFad of © 2024 Garber Painting. All rights reserved.

Note: This service is not intended for secure transactions such as banking, social media, email, or purchasing. Use at your own risk. We assume no liability whatsoever for broken pages.


Alternative Proxies:

Alternative Proxy

pFad Proxy

pFad v3 Proxy

pFad v4 Proxy