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「IoTでインフラを守る」/CEATEC JAPAN 2017に共同出展/SIPの研究開発課題の研究成果

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:喜連川 優、東京都千代田区)が、10月3日に開幕する情報技術の見本市「CEATEC JAPAN 2017」(千葉・幕張メッセ)の主催者特別企画「IoTタウン2017」に共同出展する「IoTでインフラを守る モニタリング技術の可能性とセンシングデータマネジメント基盤」の出展内容についてお知らせします。

NIIが出展するのは、「戦略的イノベーション創造プログラム(Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program: SIP)」(*1)の課題「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」の研究開発課題の一つである「インフラセンシングデータの統合的データマネジメント基盤研究開発」の研究成果です。「CEATEC JAPAN 2017」(*2)には、共同研究グループの北海道大学、筑波技術大学、長岡技術科学大学、ならびに、SIPの研究開発課題「インフラ予防保全のための大規模センサ情報統合に基づく路面・橋梁スクリーニング技術の研究開発と社会実装」に取り組んでいるJIPテクノサイエンス、東京大学を加えた6者で共同出展します。

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〈図〉共同出展ブースの展示イメージ

【研究開発の背景】

道路や橋梁など高度経済成長期に建設されたインフラの老朽化に伴い、トンネルの崩落といった重大事故の発生や維持修繕コストの増大が懸念されています。SIPの課題「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」は、先端のICTによるモニタリングや予測技術を活用した新しいインフラマネジメントを構築することで、重大事故を未然に防ぐとともに、インフラのライフサイクルコストの最小化に貢献することを目的とした研究プロジェクトです。その実現に向け、NIIなどの共同研究グループは、インフラ維持管理のためのデータ分析プラットフォームとして多種多様なデータを一元的に管理する大規模データベースに関する技術開発、および、モニタリングデータ収集の効率化のために各センサーから集めたデータの自律型時刻同期を可能にするマルチセンシング技術の研究開発を進めています。

NIIは平成23年(2011年)から、実世界(フィジカル)から得られる様々なデータを情報空間(サイバー)に集約、最先端の人工知能(AI)技術やビッグデータ技術を駆使して分析し、その結果を実世界に適切にフィードバックするCPS(Cyber Physical System:サイバーフィジカルシステム)の研究に、大学や産業界と連携しながら取り組んできました。「インフラセンシングデータの統合的データマネジメント基盤研究開発」は、この研究成果を踏まえた取り組みです。

【研究開発の目的の内容】

    ●研究開発の目的

    • データ管理蓄積技術: マルチモーダル・モニタリングデータの効率的な管理蓄積技術を研究開発
    • 分析技術: 構造物の変状との関連が想定される特徴量を抽出、および、構造専門家、データ分析専門家との協働による構造変化指標の創生
    • 時刻同期センシング技術: 構造体、移動体に設置する様々なセンサーによる計測データを比較分析できる自律型時刻同期マルチセンシング技術を研究開発

    ●研究開発の内容

    • 多様な分析可視化ツール、データベースシステムを統合した探索的可視化分析環境の開発
    • 周波数分析、信号処理、データ統合技術を用いた橋梁通過車両検知と橋梁の変状に関わる特徴点抽出・構造変化指標創生
    • チップスケール原子時計(Chip Scale Atomic Clock: CSAC)を用いた自律型時刻同期マルチセンシング用モジュール、および、異種センターを接続した自律型時刻同期マルチモーダル・モニタリングシステムの開発
    【研究開発の最終目標】

    ICT活用によりインフラ維持管理業務の効率化に資することが本研究開発の最終目標です。

    • センシングデータ分析のための指標群、および、利用指針の提案
    • 活荷重計測の高精度化による負荷状況に合わせた道路修復計画立案の支援
    • 各種インフラデータ活用共有基盤(データ・プラットフォーム)のデザイン
    【CEATEC JAPAN2017での展示内容】

    《多種大規模センサーデータ蓄積・分析基盤》(NII)

    多種センサーからの長期観測データの活用を可能にする高効率データ蓄積とマルチモーダルデータ(映像・センサー)の実時間処理を実現します。

    《自律型時刻同期マルチセンシング》(筑波技術大学)

    高精度な周波数標準に基づいて正確な時間を刻むチップスケール原子時計を用いた高精度時刻同期機能により、GPSや通信ネットワークが無い環境でも多種センサーの同期計測が可能になります。

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    〈写真〉チップスケール原子時計

    《探索的可視化分析環境》(北海道大学)

    複数の可視化・分析手法を即興的に組み合わせ、マルチモーダルなデータ可視化を実現します。

    《探索的可視化分析》(NII・長岡技術科学大学・北海道大学・筑波技術大学)

    橋梁構造専門家とデータ分析専門家の協力による構造変化指標を創出します。マルチモーダルデータの統合分析により、通過車両の検知に役立てます。

    上記のブース展示に加え、10月6日(金)11時30分から国際会議場1階 102会議室で開かれるコンファレンス「IoTでインフラを守る〜モニタリング技術の可能性とインフラデータ統合マネジメント基盤〜」で、NIIからは副所長・コンテンツ科学研究系教授の安達 淳と副所長・情報社会相関研究系教授の佐藤 一郎が講演します。

    「IoTタウン2017」全体の出展概要につきましては、主催者が9月27日に発行しました別添のリリース「CEATEC JAPAN 2017 主催者特別企画『IoTタウン2017』、出展概要を発表」をご参照下さい。

    NIIは昨年度、CEATEC JAPAN 2016のIoTタウンに、北海道大学、大阪大学、九州大学との共同研究「社会システム・サービス最適化のためのサイバーフィジカルIT統合基盤の研究」の研究成果を、3大学と共同で「ソーシャルCPS」のカテゴリーで出展(*3)しました。また、本年3月にはドイツ・ハノーバーで開催された国際情報通信見本市「CeBIT 2017」に、NII情報社会相関研究系教授(当時 コンテンツ科学研究系教授) 越前 功が開発したプライバシー保護技術を出展(*4)しています。NIIは、幅広い層からなる多数の来場者が期待される総合的な展示会に出展することで研究への取り組みやその成果を社会に対してより広く伝えることに努めています。NIIは今後も国内外に向けて活動内容の情報開示に積極的に取り組んでいきます。

    ニュースリリース


    (*1)「戦略的イノベーション創造プログラム」: 内閣府総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が主導する国家プロジェクト。「インフラセンシングデータの統合的データマネジメント基盤研究開発」と「インフラ予防保全のための大規模センサ情報統合に基づく路面・橋梁スクリーニング技術の研究開発と社会実装」は、ともに「インフラ維持管理・更新・マネジメント技術」の研究開発項目「情報通信技術の研究開発」の中の研究開発課題。「インフラセンシングデータの統合的データマネジメント基盤研究開発」はNII副所長・コンテンツ科学研究系教授の安達 淳が研究責任者を務める。
    (*2)「CEATEC JAPAN 2017」: 10月3日(火)〜6日(金)、千葉・幕張メッセで開催。一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会、一般社団法人 電子情報技術産業協会、一般社団法人 コンピュータソフトウェア協会による「CEATEC JAPAN実施協議会」の主催。昨年度より、従来の「最先端のIT・エレクトロニクスの総合展示会」からCPSやIoT(Internet of Things:モノのインターネット)に主眼を置いた「CPS/IoT Exhibition」へと位置づけを変更した。IoTタウンは、新しいCEATEC JAPANのコンセプトを発信するための主催者特別企画。「CEATEC JAPAN 2016」の登録総来場者数は14万5180人、出展者は648(共に主催者発表)。「CEATEC JAPAN 2017」の開催テーマは「つながる社会、共創する未来」。
    (*3)「『ソーシャルCPS』のカテゴリーで出展」: 昨年6月21日付ニュースリリース「『CEATEC JAPAN 2016』に北大・阪大・九大とともに出展/ソーシャルCPSの共同研究で」、および、9月26日付ニュースリリース「ソーシャルCPS 未来の社会システム基盤を目指して/CEATEC JAPAN 2016に北大・阪大・九大と共同出展」参照。
    (*4)「『CeBIT 2017』に……出展」: 本年1月24日付ニュースリリース「『CeBIT2017』に初出展/ジェトロ主催のジャパン・パビリオンに」、および、本年3月17日付ニュースリリース「世界で初めて開発した指紋盗撮防止手法『BiometricJammer』を『CeBIT 2017』で公開/『サイバー/フィジカル境界における生体情報保護』をテーマに初出展」参照。
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