都庁は「原始時代」だった 元ヤフー会長・宮坂学副知事が語るデジタル化の現在地と展望

2023年11月13日 06時00分 有料会員限定記事
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 ヤフーの会長から、東京都の小池百合子知事のオファーを受けて2019年に都庁入りし、今秋に2期目に入った宮坂学副知事(56)。Wi-Fiがないほど「原始時代」だったというオフィスからファクスをほぼ追放するなど、巨大組織・都庁のデジタル化を一気に進めた。子1人に月5000円を給付する「018サポート」の申請サイトについて寄せられる不満のコメントに、職員らと目を通しながら改善策を探り続けていることなどを紹介し、ユーザーである都民とともにデジタルサービスを成長させようという思いを語った。(渡辺真由子)

 宮坂 学(みやさか・まなぶ) 1967年生まれ。1997年ヤフー入社。2012年に社長、2013年にソフトバンク取締役、2018年からヤフー会長。東京都参与を経て、2019年9月から都副知事。

◆「伏魔殿」の都庁に営業に行ったら「流れで」

Q 副知事就任のきっかけは
A(宮坂氏) もともとは都庁には営業に行く側だったんです。自動車中心の社会から、歩行者とか自転車中心の社会になったらいいなと思って「こういうサービスどうですか」って営業に行ったんですね。そうしたら、小池知事から「非常に面白い、1回そういう話を都庁の幹部にして」と言われて「これからはデジタルを取り入れて、変わっていくべきじゃないんですか」って話をしたんですよ。その流れで参与として入って、副知事となりました。
Q 都庁のイメージは
A ずっと民間でやっていたので、公務員は完全に選択の外側で。都庁って生活してて、あまり身近ではないですよね。いろんな人に「伏魔殿だよ」「すげえ大変だよ」って脅されました。

2期目の取り組みについて語る東京都の宮坂学副知事=都庁で

Q 実際に都庁に入ってみて、民間との違いをどう感じたか
A 民間では大体、マーケットシェアの2割ぐらいを取っちゃえば一等になれるが、行政は逆で、見ているものがそもそも違うんだなと思いましたね。また民間の時は絶対に会わない人とか、行かないような場所とか、そういったものを目にすることが増えるんで、月並みですけど「つくづく世間は広いな」と思いました。

◆「久しぶりに見た」FAX、Wi-Fiもなし

Q 働き方の違いは
A 原始時代かと思いましたね。ヤフーの時とは全然違う。前の世界では紙とペンは誰も使わず、ファクスも見ていなかったので「久しぶりに見た」みたいな感じ。都庁内にはWi-Fiもなかったですから。僕にとってインターネットって空気みたいなものなので「(都庁には)空気ないんだ」みたいだった。
Q 一番初めに取り組んだことは
A 「分かりやすくつながる」ということ。いくらデジタルをいろいろやると言っても、つながってないと、何もできないですよね。パソコンってインターネットにつながって別のものになりますよね。職場に光回線やWi-Fiを整備したり、街中に5Gの導入支援をしたり。都立病院など都が管理している場所については、ちゃんとインターネットにつなげることを最初にやりましたね。結果的に職員からすると、結構シンプルで分かりやすかったのかなと。ハードについては1期目で軌道に乗ってきましたね。
Q ネット環境の整備以外の成果は
A DX(デジタルトランスフォーメーション)って、キラキラした世界が来るみたいな(印象がある)。でも物事には順番がある。「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「デジタルトランスフォーメーション」。(最初の)デジタイゼーションとは、スマホとかパソコンで資料をつくるように、情報をデジタルツールでつくることです。もともと、ここは都庁もできていた。

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