山手線の先頭車両。僕のデモニカ内で暗やみのスキャナーが、運転室を挟んだフロントガラスに当たる無数の雨粒を高速度撮影のように捉える。べちゃべちゃべちゃとまるでトマトがつぶれるように流星たちは放射状に爆ぜ、僕が嘔気を知覚すると同時に、ぺっと車内に唾を吐くと加齢臭たっぷりのアルマーニがジロリと視線を寄こす。僕が俺になって奴をボコボコにしてる間にもデモニカは演算を続ける、3、2、1、インコンプリート。俺は切り裂きジャックのことを思う。ガル博士の宇宙に思いをはせる。今、ロンドンにもこうして雨は降っているのだろうか。麗人蒼いうさぎ+魔都渋谷の合体検索結果は痴人…。これが真実か。だとしたら、ちょっとつまらない。数学は数学、プログラムはプログラムにすぎないと思いたい。それ以上でも以下でもない。俺は僕になってデモニカの電源を落とす。デリートオール。だが、人間の意識はコンピューターのように簡単にオン・オフとは