むかしコンピュータがないとき、人の動きをどうやってシミュレーションしたかご存じだろうか? 流体力学の世界なのだと思うが、いまなら1人1人をバーチャルに再現して、人工生命的にシミュレーションするなんてのもあるかもしれない。しかし、コンピュータを手軽に使えるようになるまでは、「豆」が使われたりしていた。 菓子箱のような適当な大きさの模型の中に壁やテーブルを作り、その中にたとえば大豆をジャーッと入れてやる。大豆の1粒を人間1人に見立てているわけだ。ここで、箱ごとユサユサと動かして、たとえばデパートなどの施設で火事が起こったときの人の行動をシミュレーションをするのである。 NHK教育テレビで、実際にこうした実験を紹介をしたのを見たこともあるが、大豆はぶつかりあい、出口に殺到して、押し合いへし合い、何個かは裏口を見つけてさっさと出ていったりする。豆の形のいびつさや相互作用が、人の動きを真似るのだろう