東北メディカル・メガバンク機構の保有する血液細胞からiPS細胞が作製できたことを発表(京都大学iPS細胞研究所の山中所長(左)ら) iPS細胞(人工多能性幹細胞)の研究成果の発表が相次いでいる。再生医療や創薬が臨床段階に進み、実用化へと前進している。さらに今、疾患研究が治療法開発へと進んだように、疾患の予防に向けた新たな使い方の検討も始まった。さまざまなプロジェクトとの横断的な連携により、iPS細胞の可能性がますます広がる。 再生医療 臨床研究相次ぐ、安全性の知見蓄積 iPS細胞が再生医療に初めて用いられたのは2014年。理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーによって、目の疾患「加齢黄斑変性」の患者へ網膜色素上皮細胞が移植された。その後、18年の大阪大学によるiPS細胞由来の心筋細胞移植の臨床研究が認められると、京都大学や慶応義塾大学の臨床研究もこれに続き、再生医療への応用の動きが一気
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