最近、奨学金の滞納問題に関する記事が目立ち、負の部分にばかりスポットが当てられていることにちょっとした懸念を感じる。(例えばNHK特集「奨学金が返せない」や、ブロゴスの“「夢」のために借りた奨学金と滞納が増加している「現実」 ”など。)確かに課題となっている部分を指摘して、制度改善を迫ったり、借り手に注意を促すことは価値のあることだ。しかし、同時にポジティブな部分にもしっかりと光を当てることも同じく重要であると思う。そこで、奨学金の恩恵を最大限に受け、今も返済を続けている私自身の経験も踏まえながら、この問題について考えてみたい。 私は「極貧」と言ってもいいであろう家庭環境の中で育った。高校1年から卒業まで親は家にいない状態で、アルバイトをしながら生活費を工面していた。日本育英会(当時、現在は日本学生支援機構)の奨学金も借りていた。高3になり受験勉強に本格的に取り組み始め、アルバイトを辞めざ
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