厄年に何らかのトラブルに遭ったことがある人---3人に1人。あなたは経験あるだろうか?だが、そもそも「厄年」に根拠はないらしい。日本初・科学的分析に基づく「新・厄年」をお教えしよう。
科学的な「厄払い」とは
30代から60代の男女2000人を対象としたこんなアンケート結果がある。
・厄年対策で厄払いをしたことがある、もしくはしようと思っている---49・7%
神頼みで厄払いをしようと思う人は2人に1人もいるという事実。厄年を恐れている人がいかに多いかをうかがい知ることができる。
数え年で、男性は25歳、42歳、61歳。女性は19歳、33歳、37歳。誰しもに訪れる厄年は、一般的に「病気になる」「事故に遭う」といったイメージが強い。だが、その起源はあいまいで、根拠も明確になっていないのだという。
厄年に関する最も古い記述は、平安時代に書かれた文献にあるというが、時代によってその年齢は異なっている。昔は疫病で若くして亡くなる人が多く、お参りをして厄年を乗り越えると、ある程度長生きできると考えられていたようだ。
現在の厄年は江戸時代から定着していたようだが、科学的な裏づけはされていない。さらに言えば、江戸時代には30代前半だった平均寿命が、現在は82歳を超えるまでに延びており、生活習慣もまったく異なる。400年以上前からの厄年が、現代人にも当てはまるとは限らないのだ。
「そこで、今回、我々は75万人ものデータを分析し、病気が発症しやすい年齢というものを算出しました。これは日本で初めての試みだろうと思います。ある年齢で病気の発症率が上昇しているポイントを発見し、それを『新・厄年』として設定したのです」
こう話すのは、この調査を行った「年齢研究所」所長で、茨城キリスト教大学名誉教授の板倉弘重医師だ。冒頭の厄年についてのアンケートを行ったのも同研究所である。
対象としたのは、100万人の中から抽出した約75万人分のレセプトデータ。レセプトとは、病気に罹って保険診療を受けた患者の、年齢や性別、病名、どんな治療を受けたのかといったことが書かれている明細書だ。その中で、健康寿命を損ねる大きな原因となる7つの疾患に注目した(健康寿命とは、介護を必要とせずに自立して健康な生活が送れる年齢のこと)。
7つの疾患とは、脳卒中などの脳血管疾患、認知症、関節疾患、骨粗しょう症、心筋梗塞などの心疾患、糖尿病、がん。昨年1年間に発症した患者の年齢と発症率を調べた。すると、これらの病気を総合した発症率が一段と上がる年齢が、いくつかあることがわかったのだ。つまり、科学的根拠に基づく「病気になる年齢」が判明したことになる。
次ページにも記したが、板倉医師らが算出した新・厄年は次のとおり。
〈男性〉24歳、37歳、50歳、63歳
〈女性〉25歳、39歳、52歳、63歳