'80年代のバブルより異常
私は金融マンとして30年近くマーケットを見てきましたが、現在のような異常な株式相場は見たことがありません。
象徴的だったのが、12・10ショックを契機とする日本株の暴落劇です。12月10日に日経平均株価が前日比で400円も暴落すると、翌日も一時300円以上株価を下げるなど騒動になり、このまま日本売りが止まらないのではと不安の声が上がりました。
暴落劇の要因は、ヘッジファンドを中心とする外国人の短期筋が利食いするために一旦、日本株を売ったことにありますが、それだけではありません。
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黒田東彦総裁率いる日本銀行は、異次元の金融緩和の名のもとに、ETF(上場投資信託)を購入することで株価を下支えしてきました(左表)。特に午前中の相場が大きく崩れると、その日に買いを発動するというのがこれまでの特徴でした。
しかし、12月10日は午前から大幅安だったにもかかわらず、買いを発動しなかった。これまで短期筋は日銀の買いを見越した投資をしてきたので、焦って売り急いだ側面があるわけです。
日銀が買いに入らなかったのは、日銀が目標としている年末時点でのETFの目標残高にすでに近づいているからと言われています。
そもそも中央銀行が株を購入して株価を支えるということ自体、世界では見られない異常事態です。そこへきていまの日本株市場は、日銀の動きを見ながらマーケットが動くという怪しい相場になっている。
'80年代後半の沸騰相場も異常な株価だと言われましたが、当時は企業が財テクに走り、銀行も一役買った。つまりは、民間が作ったバブル相場でした。それがいまは完全な官製相場なので、よりタチが悪い。株価が上がれば上がるほどに、その異常さを警告するアラームが鳴り響いているように、私には見えるのです。
山元博孝氏(69歳)。経済評論家。日本興業銀行(現・みずほ銀行)の金融法人部長や和光証券(現・みずほ証券)常務などを歴任。銀行マン時代から株式、債券、為替のマーケット業務を手掛け、ディーラーとしても活躍した。
まずはこれからの相場の見通しを話しましょう。
このほどの総選挙で自民党が圧勝したことで、株高を志向するアベノミクスの政策が強く推進されるという期待から、2015年は株価が一層上がる一年になるでしょう。