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シンガポール最大の銀行DBSは24日、人工知能(AI)が人間に取って代わって仕事をするとして、今後3年間で従業員4000人を削減する見込みだと発表した。
DBSの広報担当は、「今回の人員の減少は、派遣社員や契約社員が今後数年間で退職することによる自然減による」とBBCに説明した。
無期雇用の社員は、今回の削減の影響を受けないとみられる。
DBSのピユシュ・グプタ最高経営責任者(CEO)は、新たにAI関連の雇用を約1000人分、創出する予定だと述べた。
今回の発表でDBSは、AIが仕事にどう影響するのかを詳しく示した、最初の大手銀行の一つとなった。
シンガポールで何人の雇用が削減されるのかや、どの職務が影響を受けるのかは、明らかにしていない。
DBSは現在、派遣や契約の社員を8000~9000人雇っている。従業員の総数は約4万1000人。
グプタCEOは昨年、DBSが10年以上にわたってAIの活用に取り組んできたと述べていた。
また、「現在、350事例で800超のAIモデルを導入している。これらの経済効果は、2025年に10億シンガポールドル(約1120億円)を超えると見込んでいる」としていた。
グプタ氏は3月末でDBSを去る予定。後任にはタン・スー・シャン副CEOが就任する。
国際通貨基金(IMF)は2024年、AI技術が世界の全雇用の40%近くに影響を及ぼすと発表した。
活用が広がるAIをめぐっては、功罪が議論されている。国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエヴァ専務理事は、「ほとんどの場合で、AIは全体的な不平等を悪化させる可能性が高い」と述べている。
英イングランド銀行(中央銀行)のアンドリュー・ベイリー総裁は昨年のBBCの取材で、AIが「雇用の大規模破壊」を引き起こすことはないだろうとし、人間は新たなテクノロジーとの働き方を見つけるだろうと語っていた。
ベイリー氏は、AIにはリスクがある一方、「大きな可能性がある」と述べていた。
(英語記事 Major Asia bank to cut 4,000 roles as AI replaces humans)