首都圏に立つ新築マンションの1月の平均価格は7343万円―。それでも前年より7%安くなったらしいが、気が遠くなりそうだ。手の届く人がどれだけいるのか。混雑するし、生活費も地方より高くつくだろうに▲東京23区では9カ月連続で1億円を超える。一生の買い物であり、はんこをポンと簡単に押せない。考えに考えた末の決断となる。成約までの期間は延びがちに。価格維持のためか、発売戸数を絞る業者もいるようだ▲切り詰めてローンを数十年間、支払っていく―。そんな共働き世帯が思われる。一方で今、富裕層が増え、過去最多だという。金融資産1億円以上の層は2年前、165万世帯に達した。株式の高騰や相続などが理由とみられる▲いずれにしても都会の、縁遠い話だと思ったら、さにあらず。「ローカル億ション」が今、広がっている。35都道府県に立ち、広島や岡山のほか、島根にも。とりわけ歴史地区や景観の良い立地の物件が人気を集める▲地方にやっと目が向いてきたか。転出超過に苦しむ広島県にはチャンスかもしれない。移住セミナーの参加者に聞けば、希望地の第3位。暮らしやすく海や里山も近い。富裕層には響かないか。