最初はそれぞれのキャラの行動が不愉快で、受け付けない事が多いですが、巻を追う事にその行動の理由が少しずつ紐解かれていき、解像度がどんどん高くなっていきます。そこから皆少しずつ前へ進んで行くのかと思いきや、考えが変わるからこそのすれ違いが起き
ていき……。まるで泥のなかをもがき続けるような、前に進んだかと思えばまた振り出しに戻る。登場人物全員が、いい意味で不完全な人間たちで、心の傷を慰め導いてくれる「ヒーロー」的存在が皆無なので、読む人によってはドロドロとした人の内面ばかりで疲れてしまうと思います。誰しもが持っているであろう意地とトラウマと、諦めによる僻みの描写が緻密過ぎるので、感情移入してしまう方はオススメしないですね。逆にこういった環境による認知の歪みの所為でまともな思考がもてない人達、生々しいやりとりがお好きな方にはオススメです!
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