米政府へのサイバー攻撃、指紋560万人分も盗難
【ワシントン=川合智之】米人事管理局は23日、7月に発覚したサイバー攻撃で連邦政府職員ら約2150万人の個人情報を盗んだハッカーが、同時に最大約560万人分の指紋の情報も盗んでいたと発表した。米政府は中国が攻撃に関与しているとみているが、中国政府は否定している。24日の習近平国家主席のワシントン到着の直前に公表することで、中国をけん制する狙いがありそうだ。
指紋を盗まれたのは政府職員のほか、契約業者の従業員ら。昨年末から個人情報を管理するサーバーにハッカーが侵入していたとみられ、保管されていた指紋の情報を盗んだもようだ。7月の時点では約110万人分の指紋情報が流出したとみていたが、被害規模を上方修正した。
指紋は入国管理や犯罪捜査のほか、生体認証による入退室管理やデジタル機器の個人認証などに活用されている。人事管理局は現時点で悪用の恐れは限定的とみているが、パスワードと違い指紋は変更できないため「究極の個人情報」とも呼ばれる。同局は流出対象者に対し、詐欺などに巻き込まれた際の被害を補償する。
米当局は中国ハッカーの犯行とみて捜査中だが、中国はサイバー攻撃に関与していないとの見解を表明している。習主席は22日の米西部ワシントン州シアトルでの演説で「中国もサイバー攻撃の被害者だ」と従来の立場を繰り返した。
米メディアは中国に対して米政府が経済制裁を検討していると報じていたが、習氏の訪米前の制裁公表は見送った。オバマ氏は24日の非公式夕食会や25日の首脳会談の機会を通じて、習氏に直接懸念を伝える方針だ。