今から2年ほど前になるが、当時の野田佳彦首相が衆院解散を明言し、政権交代の可能性が高まり、アベノミクスの第1の矢であるインフレ目標と金融緩和政策が採用されることが確実になった。 その前後から、多くの人たちは奇妙なことを言い出した。「インフレ目標と金融緩和で円暴落、国債暴落、ハイパーインフレになる」という言説が流行したのだ。 しかし、政権交代が起こり、インフレ目標と金融緩和が実際に行われても、円は予測通りに若干安くなり、金利も当初は一時高くなったがすぐに落ち着き、物価はインフレ目標2%に向かって上がりだした。つまり、円暴落、国債暴落、ハイパーインフレになるというのはウソだった。 米国でも似たような事情だ。ノーベル賞学者のクルーグマン・プリンストン大教授も、最近のコラム『どんなコストを払ってでもインフレ妄執を広める人たち』の中で、金融緩和でひどいインフレになるという人が後を絶たないこと、その間
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