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結果よりもプロセスを楽しむことができる人 - kaigonoki’s diary

kaigonoki’s diary

えがおの高齢者を増やす介護士

結果よりもプロセスを楽しむことができる人

介護士として働いていると、「目に見える結果が出ない」と感じることがあります。


例えば、リハビリを頑張っている入居者様がなかなか回復しない。
認知症の方が、昨日覚えていたことを今日は忘れてしまう。


「自分のしていることに意味があるのだろうか?」と、ふと考えてしまうこともあります。

 

でも、そんなとき私はこう思うのです。


「結果」だけにとらわれるのではなく、「プロセス」そのものを楽しもう と。

介護の仕事は、決して「ゴール」があるわけではありません。


その日その日をどう過ごすか、どんなふうに関わるか、
その積み重ねこそが、入居者様にとっても、私たちにとっても大切なのではないでしょうか。

 

小さな変化に気づくことができる人

ある入居者様のお話です。


90代の女性で、入居された当初はほとんど笑うことがありませんでした。
食事もあまり進まず、スタッフが話しかけても、うつむいたままのことが多かったのです。

 

でも、ある日、私が「今日は天気がいいですね」と話しかけると、
小さく頷いてくださいました。


それから何日かして、お食事を少しずつ召し上がるようになり、
あるとき、ぽつりと「このおかず、美味しいね」と言ってくださったのです。

 

もし私が「この方を笑顔にすること」をゴールにしていたら、
「まだ笑顔になっていない」と焦っていたかもしれません。


でも、「今日、頷いてくれた」「少し食べられるようになった」という小さな変化を大切にすることで、
その方のペースに寄り添いながら関わることができました。

 

大切なのは、目に見える結果ではなく、日々の小さな変化に気づくこと。
そう実感した出来事でした。

 

「できること」を一緒に探す楽しさ

介護の仕事では、「できること」に目を向けることが大切です。


年齢や病気によって、「できなくなること」が増えてしまうのは避けられません。
でも、それと同じくらい「できること」もあるはずです。

 

例えば、歩行が難しくなった方でも、座ったままでできる体操はあります。
食事の介助が必要になっても、スプーンを自分で持つことはできるかもしれません。
認知症が進んでも、昔好きだった歌を口ずさむことはできるかもしれません。

 

ある入居者様は、昔、編み物が好きだったそうです。
しかし、手の震えがひどくなり、細かい作業が難しくなっていました。


「もう編み物はできない」と諦めていたのですが、
太い毛糸と大きな編み棒を使うことで、また少しずつ編めるようになったのです。

 

そのときの笑顔は、今でも忘れられません。

 

「昔のように細かい編み目は作れない」
でも、「今できる方法で楽しむことができる」。

 

結果だけを求めていたら、「もう編み物は無理」と思ってしまっていたかもしれません。


でも、プロセスを楽しむことで、新しい可能性を見つけることができたのです。

 

一緒に過ごす時間そのものが大切

介護の仕事では、「何かを達成すること」よりも、「一緒に過ごす時間」が大切です。

たとえば、入居者様と一緒に散歩をするとき。


「何メートル歩けたか」よりも、「どんな景色を見たか」「どんな話をしたか」が大切なのではないでしょうか。

 

レクリエーションで塗り絵をするときも、
「綺麗に塗れたか」よりも、「どんな色を選んだか」「どんな表情で塗っていたか」のほうが意味があります。

 

入居者様が折り紙を折っているとき、途中で手が止まってしまうことがあります。


以前なら「最後まで折れるように」と手伝ってしまっていたかもしれません。


でも、今は「どこまで折れたか」ではなく、
「折っている時間を楽しめたか」のほうが大事だと考えるようになりました。

 

途中で折るのをやめても、それがその方にとって満足のいく時間であれば、それでいい。


そう思うと、私自身も気持ちが楽になり、入居者様と穏やかに過ごせるようになりました。

 

「結果」を手放すことで、介護がもっと楽しくなる

介護の仕事では、時に「こうしなければならない」と思い込んでしまうことがあります。


「リハビリをして歩けるようにならなければ」
「食事は全部食べてもらわなければ」
認知症の進行を遅らせなければ」

 

でも、結果ばかりを気にすると、うまくいかないときに焦りやストレスが生まれます。
そして、入居者様にもプレッシャーを与えてしまうことがあるのです。

 

あるとき、私は思いました。


「結果を気にするのではなく、目の前の瞬間を大切にしよう」と。

そうすると、不思議と気持ちが軽くなりました。


入居者様と一緒に笑ったり、話したりする時間そのものを楽しめるようになったのです。

 

結果が出なくてもいい。
うまくいかなくてもいい。


そのプロセスの中で、入居者様と共に過ごせることが、何よりの喜びなのだと思います。

 

プロセスを楽しむことができる人になろう

介護の仕事は、決して「成功」と「失敗」で測れるものではありません。


何かが「できるようになった」ことだけが価値なのではなく、
「その人らしく過ごせたか」「心地よい時間を共有できたか」が、何よりも大切なのです。

 

結果にとらわれず、
小さな変化を大切にし、
その日その日を入居者様と一緒に楽しむ。

 

そんなふうに働くことができれば、介護の仕事はもっとやりがいのあるものになるはずです。

 

そして、それは介護だけでなく、私たち自身の人生にも言えることかもしれません。


大きな目標や成果だけを追い求めるのではなく、
毎日の小さな出来事や、人との関わりを楽しむことができたら、
人生そのものが、もっと豊かで幸せなものになるのではないでしょうか。

 

「結果」よりも、「プロセス」を大切にする。
そんな気持ちで、これからも入居者様と向き合っていきたいと思います。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。









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