
- 作者: 城平京,木村有里
- 出版社/メーカー: スクウェア・エニックス
- 発売日: 2007/04/21
- メディア: コミック
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なんともジャンル分けに困る作品ではありましたが、ローズレッド・ストラウスという人を中心にした物語であったことは確か。どんでん返しの連続だった展開も、前の巻のラストで明らかになった真実で打ち止め。なんかこうなると、最初から全てを知っていたストラウスが抱え込んでいた事実が大きすぎて、他のキャラクターたちはいいように踊っていただけにも見えますけど。
そして、全てが明らかになった上での、それぞれのキャラクター達の行動と想いが描かれます。ベタな展開だとは分かっていても、吸血のシーンや月面のシーンといった別れのシーンの連続から、ラストのストラウスvsブラックスワンは泣けました。少しずつ盛り上がっていく展開はずるい。宇宙人にしてもヴァンパイアにしても、冗談のようだった展開と設定を上手く収束させたのは見事だと思いまし、このラストも綺麗だったと思います。余韻を残しておいて、オマケ漫画でずっこけさせるのも後味悪くなくて良いんじゃないかと。個人的には、森嶋とブリジットのこの先が気になるところ。
全体としてみると、時代は1000年単位で超えるわ突然宇宙規模になるわ妙に外れたギャグはあるわのなんだか奇妙なセンスで貫かれた物語を、それぞれのキャラクターの知っている情報の偏りからのミスリードで散々ひっくり返しまくって驚かせた上に、美しく哀しいラストまで間延びすることなくしっかり運んだ感じ。1巻の頃からじゃこういう話になるなんて全く想像もつきませんでした。
難点を言えば、ちょっと絵の方が弱かったかなと。描きこみなんかは細かくて綺麗なのですが、全体的に何が起こってるのかわかりにくい感じ。
なんにしても、十分に楽しめました。で、そろそろ城平京の新作小説が読みたいです・・・・・・。ラノベでもミステリでもSFでも何でも良いので。
満足度:A