経済成長すれば増税は必要ない?
経済成長すれば増税は必要ない、という意見は根強くあります。
現行の税収構造から考えて、
この意見は成り立つのか・・経済学者が試算しております。
参考文献はこちらです。
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税制改革のミクロ実証分析――家計経済からみた所得税・消費税 (一橋大学経済研究叢書61)
- 作者: 北村行伸,宮崎毅
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2013/02/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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なお、以下の仮定は消費税に限定しており、
経済成長による法人税や所得税の増収は
計算に入れておりませんし、
あくまで現在の物価水準が変わらないとしたり
消費性向も変化しないとするなど
いろいろ問題がありますが、
議論の前の一つの仮定と考えてお読みください。
なお、数字はいずれも2009年度のものです。
消費税は家計の最終消費に転嫁されるという建前であり、
家計消費支出と実際の税収を比較することにより
効率性が測定できます。
家計は所得の全てを消費に回すわけではありません。
所得292兆円に対する消費性向は約94%。*1
所得292兆円×94%=273兆円が消費に回ります。
家計総消費支出 273兆円で、
消費税収は 約12兆円。
実効税率は約4.3%です。*2
5%にならないのは非課税品目の存在や
いわゆる益税による脱漏があるためですが、
かなり効率性は高いものと思われます。
さて、経済成長により
今回の10%引上げによる税収増は約12兆円とされます。
この税収を、5%を維持したまま確保しようとする場合、
どのくらい所得を増やす必要があるかと計算しますと、
簡単な算数で、消費性向や税収の効率性が変わらないとすると
所得も2倍にならなければなりません。
このためには、名目10%の成長を7~8年間維持しなければ
ならないという非現実的な仮定を置かなければなりません。
もちろん、所得が増加すれば
法人税や所得税の税収も増加しますので、
消費税だけに限定したこの議論は
増税を正当化するための
不十分な仮定であるとも思われます。
なお、一般会計の基礎的財政収支の赤字は
12兆円の税収増加では半分程度しか埋まりません。
所得税の累進性回復による増収や
法人税の特別措置廃止による課税ベース拡大、*3
何よりも高齢者給付に偏り過ぎた
社会保障の見直しを合せて行う必要が
あるようにも感じております。
考えを深めるためにも
勉強を続けたいと思います。