著者:古森重隆
発行元:東洋経済新報社
魂の経営まとめ
この本はスゴい。いや、古森さんがスゴい。古今東西、潰れそうな会社を建て直したという話はたくさんある。でもね、会社に大きな収益を生み出していた、文字通り大黒柱の事業が合った市場がなくなる・・・という状況から会社を建て直す、なんてことはそう簡単に起きない話し。そう簡単に起きない話しに直面した、経営者はどのような決断をしたのか?どのような思考を持っていたのか?を教えてくれる本。とんでもないレベルのビジネス書ですよ。いや、歴史書ですよ。
魂の経営を読んだ理由
富士フイルム復活の話しを知りたかったので
魂の経営で仕事に活かせるポイント
- 既存の技術で既存市場に適用できることは未だ他にないか
- 新しい技術で既存市場に適用できることはないか
- 既存の技術で新しい市場に適用できることはないか
- 新しい技術で新しい市場に適用できることはないか
この、古森流アンゾフのマトリクスですね。そして、「勝てる事業」ではなく「勝ち続けられる事業」を選ぶという着眼点ですね。
魂の経営の目次
本業消失 富士フイルムに何が起こったのか?
第二の創業 富士フイルムの挑戦と改革の全貌
有事に際して経営者がやるべきこと 「読む」「構想する」「伝える」「実行する」
すべては戦いであり負けへならない 世の中のルールと勝ち残るための力
会社を思う気持ちが強い人は伸びる 仕事で成果を出し、成長を続けるための働き方
グローバル時代における日本の進路 国と企業の強みと可能性について
魂の経営の感想
富士フイルムの業態変化はとてつもないことだったんだな…ということがよくわかりますわ。「新規事業開発を行いたい!」という人は、この本を読むべき。半端ない覚悟と、洞察力、そして実行力ですよ。写真フィルム市場が、ほぼなくなるという環境の中での新規事業開発。どんなことを考え、どう動いていたのか?がしっかりと書かれているのです。
どこを切り取っても「勉強になる」箇所ばかりなのですけど、一番勉強になったポイントは「印刷用フィルムがデジタル化去れたことで、写真フィルムもデジタル化される」と予測した話ですね。これ、70年代後半から80年代前半にかけての話ですよ。レスポンスシステムの登場から、未来を予測して動いていたなんて。そういえば、雑誌の写真を校正段階でイジるとき「ここ、レスポンスで消す」なんて赤字入れていたな。
コダックに追いつけ追い越せで、写真フィルムの改善と販売拡大に邁進していた時期に「デジタル時代」を、見据えて社内で動いていたって、凄いよな。
とはいえ、ちゃんと写真フィルムのことも学んでいて、写真フィルムの開発生産に必要な技術、乳化や酸化の技術、それもナノレベルでコントロールする技術で化粧品の開発に進んでいく、もちろん古森さんは化学者じゃないけど、フィルムと化粧品の共通点を理解してGOを出すのだから凄い。もちろん、化粧品だけでない。フイルム開発の技術をしっかりと新分野に展開している。
洞察力と実行力が、ほんとに凄いですわ。満州から命からがら帰ってきた人生経験に基づいているのかしらね。もっともっと古森さんのことを知りたくなりましたよ。
タイトル:魂の経営
著者:古森重隆
発行元:東洋経済新報社