東京電力によると、福島第一原発では9月末にすべての原子炉で周辺温度が摂氏100度以下になったという。懸命の循環冷却が功を奏して、冷温停止に一歩近づいたと言いたいらしい。残念ながらこれもまた、3.11以来続く情報操作、でたらめではないがたちの悪い「無意味情報」の垂れ流しである。 原子炉の「炉心」である核燃料の巨大な集合体はメルトダウンし、所在位置もどんな状態にあるかも確認できていない。東電の言う周辺温度とは一体どこの周辺なのか。圧力容器も格納容器も炉心が存在しないもぬけの殻だとすれば、その周辺温度が100度以下になったことに何の意味があるのだろう。樹上で鳴く蝉の合唱に耳をふさぎ、空っぽの抜け殻(空蝉=うつせみ)だけを見て、蝉はもはやこの世にいないと言い張るようなものではないか。東電と経済産業省が語る「原子物語」は、全帖これ「空蝉」ばかりである。
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