プレゼンテーションを成功させるには、まず骨子を決めること。本当に伝えたい1つのことに絞り込むために、いくつかの視点を持って検討すべきです。この骨子、言い換えると「コンセプト」を決めるために図解思考を活用してみましょう。
短期集中連載「プレゼンがうまい人の『図解思考』の技術」はいかがだったでしょうか。プレゼンテーションを構成し、まとめるための方法論として、図解思考を活用するという手法でした。今回からはプレゼンのためのアイデア発想技術やプロットの実践法などを取り上げたいと思います。
まずはプレゼンテーションの骨子を決めることです。素晴らしいアイデアがたくさん出てきた場合、すべてを採用したくなることがありますが、それでは言いたいことは伝えられません。本当に伝えたい1つのことに絞り込む必要があるのです。そこで、いくつかのアイデアから実際の提案に採用するものをチョイスしましょう。
採用するアイデアを選ぶのは、なかなか楽しい作業ではありますが、直感的に面白いと思うものを選ぶだけではなく、いくつかの視点を持って検討すべきです。その視点とは、以下のようなものです。
これらの視点でアイデアをふるいにかけ、1つに絞り込みましょう。絞り込んだら、それを端的に言い表すフレーズをつけることができれば合格点です。これが「コンセプト」です。コンセプトは、それを聞くことでイメージが広がり、提案を詳しく聞きたいと思えるものでなければいけません。
そのため、誰に対して、何を使い、どのようなメリットを提供するのか――がコンセプトに含まれている必要があるのです。
例えば、ほかに比べて圧倒的な動員数を誇る東京ディズニーランドは「夢と魔法の国」というコンセプトを掲げています。高品質な映像と音楽のエンターテイメント、キャスト(現場スタッフ)による高いホスピタリティ、日常を忘れさせる空間演出、リピーターを飽きさせないイベント、施設の頻繁(ひんぱん)に入れ替えることなどによって、このコンセプトを実現しています。
筆者は長年使っていた掃除機が壊れてしまい、年末の大掃除を迎えて、新しいものを購入しなければならなくなりました。お掃除ロボットのルンバと、吸引力とメンテナンスのしやすさのダイソンと悩んだのですが、結局、ダイソンを買ってしまいました。
個人的な感想ですけど、ダイソンはジェット機なみに音がうるさいのですが、やはり細かいゴミまで根こそぎ吸引してくれるパワーと、ゴミを捨てれば吸引力が戻るというお手軽メンテナンスはほかを圧倒しています。さて、最後にダイソンのコンセプトを図解プロットで表して、今年の連載は終わりとしたいと思います。
あなたがダイソンのマーケティング担当だったら、どのようなコンセプトで打ち出しますか?
パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。
「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
Webサイト: www.showcase-tv.com
Twitterアカウント:@nagatameister
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.