ユニクロ社員はこう考える

ひとり勝ちの秘密が見えた


来春、ロシアに第1号店を出店。デフレ下でも最高益を更新し、前進を止めないユニクロの強さの秘密は、社員にあった。表に出ることが少ないその「言葉」「行動」「思考」とは。

 

柳井会長だけじゃない

次のような難題が降りかかってきた場合、あなたならどう考え、どう行動するだろうか。以下で挙げる「ケース」は、ユニクロで実際に起きた事例である。

【ケース1】
もともとフリースのリサイクルを行っていたが、これを会社が扱う全商品で行うべきだという計画が持ち上がった。ただ、社員も多くが首をかしげている。さてどうする。

 この課題に直面した女性社員は、「お客様のニーズも絶対にあるはず」と感じると、みずから店頭にたってお客に「ユニクロがこういうことをしようとしているんですけど、どう思いますか」とアンケートを地道に集め始めた。何店舗も回り、ネット調査もやり、出した結論は、リスクもあるけど、「やるという方向に持っていくべき」。この成果は現在、着用可能な衣類を途上国などに寄贈する「サンキューリサイクル」として定着している。

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 ユニクロの「ひとり勝ち」が止まらない。'09年8月期の営業利益が、過去最高を更新。2期連続の増収増益も成し遂げ、不況・デフレにも負けない強さを知らしめた。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、そんなユニクロの「軌跡」を披瀝する著書『成功は一日で捨て去れ』を発表し、「現状を否定し、常に改革し続けなければならない」「会社は『お客様のため』に存在する」と経営哲学を語っているが、その舞台裏に社員の「力」があったことも忘れてはいけない。

 UBS証券で小売業を担当するシニアアナリストの山手剛人氏が言う。

 「創業60周年記念の早朝オープンの日には、約400店舗の社員が徹夜で準備をして奮闘するほど、社員に活気があります。店長になって売り上げを伸ばせば、年収1000万円以上になるなど頑張れば報われる風土があることに加え、社員はみなユニクロが大好きなんです。最近は、大手銀行や他のファッション関係の会社に勤めていた中途採用者など様々な人材が入社していますが、彼らが一体となって働いています」

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