2011年1月25日火曜日

目が悪くなる子ども

 前回に引き続き,子どもの発育に関するお話です。今回は,子どもの視力に関する統計をご紹介したいと思います。勉強のし過ぎか,ゲームのやり過ぎか,理由は分かりませんが,近年,目が悪くなっている子どもが増えているように思うのです。周りをみても,眼鏡をかけている子どもが多いなあ,という印象です。統計の役割は,日常生活の中で生じる,こうした主観的な印象に,確かな根拠を与えることです。

 前回もいいましたが,文科省『学校保健統計調査』には,子どもの年齢ごとに,各種の疾病の疾患率が掲載されています。私は,裸眼視力1.0未満の者の比率に注目しました。2010年の統計によると,6歳~17歳(小学生~高校生)の率の平均値は42%です。子どもの4割が,視力1.0未満ということになります。1975年の28%に比して,率が大きく伸びています。


 では,年齢別の値を細かくみてみましょう。上記の図にみるように,年齢が高くなるほど,目が悪い子どもの率が上がってきます。2010年でみると,6歳では19%であるのが,17歳になると55%にもなるのです。しかるに,時代による変化も明らかで,どの年齢でも,過去に比して率が高くなってきています。10歳と11歳では,1975年から2010年までの間に,率が2倍以上にもなっています。

 視力の低下ということも,子どもの「健康な生」が蝕まれていることを示す,一つの客観的な事実です。
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