NVIDIA,秋葉原のイベントで「CUDA」の概要を明らかに
2006年11月9日の記事でもお伝えしたとおり,NVIDIAは11月11〜12日にかけて,エンドユーザー向けのイベント「NVIDIA Reality Tour 06」を秋葉原(東京都)で開催した。 これは,「GeForce 8800」および「nForce 600」搭載製品の発表を記念して,世界各国でほぼ同時に催されたものだ。会場には,新製品を搭載した「バトルフィールド2142」や「Hellgate: London」の試遊台が多数用意され,誰でも遊べる状態になっていたのだが,これがかなりの活況。説明員が“常駐”し,普段あまりゲームをプレイしない人に対して,操作法を丁寧にレクチャーするという方法は,かなりの好評を持って来場者に迎えられたようだった。
バトルフィールド2142やHellgate: Londonの試遊台,そしてGeForce 8800 GTX/GTS搭載グラフィックスカードの実機展示が行われ,どれも来場者の注目を集めていた
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さて,イベントではNVIDIAがGeForce 8800とnForce 680i SLI,ゲストのMicrosoftがWindows VistaとGPU(グラフィックスチップ)の関係について,技術解説セッションを実施。その内容のほとんどは,4Gamerですでにお伝えしている解説記事(やプレビュー記事)の内容を大きく超えるものではなかったが,「NVIDIA CUDA」(CUDA:Compute Unified Device Architecture,クーダ)について,ニュースリリース以外では日本で初めて,NVIDIAから概要が語られたので,その内容をスライドとともにお知らせしたい。
GeForce 8800シリーズの解説中,CUDAについて言及する芦田幸治氏
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イベントでGeForce 8800の解説を行ったNVIDIAのデベロッパーテクノロジーエンジニア,芦田幸治氏は,CUDAについて,「YouTubeの帯域幅などがいい例ですが,単純な流れで,大量のデータを処理する局面が増えてきています。そして,このようなデータの処理には,CPUと比べて並列性が高く,浮動小数点演算能力の高いGPUのほうが,はるかに適しているのです」と説明。CUDAでは,ごくごく標準的な,汎用処理向けのC言語のコンパイラやライブラリが提供されるため,開発者は,DirectXやOpenGL――要するにグラフィックス処理全般――以外の,汎用的な処理にGeForce 8800を利用できるのがメリットとした。
現在は,扱うデータ量が飛躍的に増大しており,それに対処するには,CPUと比べて並列性が高いプロセッサであるGPUを使うほうが効率面で有利とするスライド
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CUDAの役割と目指すものについて説明するスライド
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CUDAがどのような分野にメリットをもたらすかについて謳うスライド。とくに注目したいのは中央で,例えば「複数の遺伝子配列をシーケンシャルにチェックしていく」ような処理は,まさに膨大なデータと向き合うものだが,このような場合,GeForce 8800はCore 2 Duo E6600/2.66GHzと比べて,10倍から最高200倍近く高速に動作するという
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「……で,GeForce 8800を利用した物理演算はいつごろからゲームに実装されて,どれだけのパフォーマンスが得られるの?」という,4Gamer読者にとっての“肝心要”の部分は明らかにされなかったが,具体的な手法とセットでGPUの使用法が新たに提示された意義は決して小さくない。実際,科学技術計算にGPUが利用されるようになれば,その成果がゲームにフィードバックされたり,あるいはゲームと何らかの形で融合するようなケースも現れるだろう。 その意味において,ゲーマーとしても,CUDAという第3のGPU利用法については,記憶に留めておく必要がありそうだ。(佐々山薫郁)
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