開設8年で突然のダメ出し。
IKEA Hackersというサイトがあります。そこではイケアのファンたちが、イケア家具の自分流アレンジやリメイク技を共有してきました。このサイトを見てイケアで買い物をした人もいるはずです。
でもイケアはIKEA Hackersを運営してきた女性に対し、そのサイトが商標権を侵害しているとして停止を求める警告状を送ってきました。その女性は今、サイトを移転せざるを得ない状況にあります。
IKEA Hackersは8年前、クアラルンプールに住むJules Yapさん(ニックネーム)が開設しました。Yapさんはイケア家具を斬新なやり方で組み立てた事例とか、既存のイケア家具を新たに生まれ変わらせるようなハックを紹介し始めました。その後IKEA Hackersはファンの巨大コミュニティに成長し、Yapさんは仕事量が増えてきたサイト運営を支えるため、サイトに小さな広告を貼るようになりました。
でも今イケアはYapさんに対し、「IKEAhackers.net」のドメイン名を商用利用しないこと、つまり広告の削除を求めているんです。フルタイムの仕事と両立が難しくなるほどIKEA Hackersの運営負担がかかっているYapさんにとって、広告なしでサイトを続けるのには無理があります。
他のブランドにもそれなりのファンはいますが、イケアほど熱いファンに支えられている存在はそう多くありません。IKEA Hackersは、そんなファンの思いやクリエイティヴなアイディアを分かち合う場になっていました。そこにあるのは無害な楽しみであり、イケアとその製品における隠れた魅力の発掘を喜ぶコミュニティでした。IKEA Hackersによってイケアのファンはさらに増え、ひいては利益にも貢献していたはずです。
でもイケアは、Yapさんに冷や水を浴びせるような警告状を送ったんです。IKEA Hackersに集まっていたイケアファンも少なからずショックを受けています。「IKEA」という商標の不正利用を糾弾されただけでなく、イケア製品のハックという行為自体を否定されたと感じる人もいます。
さらにイケアの主張は、法的にも筋が通らない可能性があります。Boing Boingでコリイ・ドクトロウ氏が書いています。
イケアの警告は、法的にはすごくいい加減だ。(略)IKEA Hackersが収入を得ているという事実(イケアの弁護士はこの点を不満としているようだが)と、商標の見え方には何の関係もない。IKEA Hackersの「IKEA」の商標の使い方では、混乱とかイメージ失墜が起こる可能性はまったくない。これは純粋な脅しであり、検閲しようとする試みだ。
Yapさんが反論できるよりどころは他にもあります。「権利不行使」というやつで、原告側が権利の主張を不合理に遅らせていたという意味です。Yapさんがサイト開設以来8年も経っているので、知的財産権を主張するタイミングとしては遅すぎといえそうです。
ただ、問題は法的なことだけではありません。Yapさんはこう書いています。「私は人であり、企業ではありません。明らかに彼らの味方であるブロガーです。警告状を送りつけるのではなく、普通の人間のように話をしてくれてもよかったんじゃないでしょうか?」
でも幸い、Yapさんは新しいドメイン名の下で新Webサイトを立ち上げようとしています。IKEA Hackersに集う人たちも、きっとYapさんについていくことでしょう。
Image by Hacked Expedit via IKEA Hackers.
Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文]
(miho)